ようやく国民全員に10万円ずつ給付することが決まった。と思ったら、「欲しい人だけ手をあげろ」の発言が飛び出した。正直なところ頭にきた。東京都は休業協力金が出るが、官房長官は東京都が勝手にしているかのような突き放したコメントをしていた。何なのだ、このバラバラ感は!自粛、休業をお願いするだけで、対応はすべて都道府県や民間任せだ。地域間格差は、地域の責任ではなく国の問題ではないのか?
そんな中、富山県の病院関係の責任者が、涙ながらに「家に帰れなくて、車で寝泊まりしている職員がいる」と語っていた。聞いていて、胸が詰まった。感染症患者の受け入れで困っているかのようなコメントが多いが、コロナ感染症以外の診療にも波及しており、「瀬戸際」や「重大局面」は終わって、すでに医療崩壊が始まっている。
私は、給付金を受け取る。そして、医療従事者や休業を強いられている人のために、寄付をする。クルーズ船の問題が始まってすでに2ヶ月以上経っている。今頃、PCR検査、軽症者へのホテルへの収容をドタバタやっている国に対策を期待していても、後手後手に回るのは明らかだ。
このコロナウイルスは
感染力が強い
潜伏期間が長い
軽症者が多い
致死率が比較的高い
特徴がある。これは2月の時点でわかっていたことだ。
検査をせずに軽症者が行動制限を受けなければ、この事態は簡単に想定できたはずだ。検査をして隔離すべきだったのだ。感染者を増やさないように検査をせず、感染者を少なく見せるなど、愚の愚の考えだ。PCR診断を受けることができない軽症者が、不用意に受診すれば、院内感染につながることも自明の理だ。
どう考えても、これまでの対策は非科学的なのだ。
といっても、時は後戻りできない。
たから、自分たちの意思で、自分たちのリスクを背負って懸命に頑張っている人たちや休業で困っている人たちに、給付金の活用法を考えるべきだ。感謝を示すだけでは、今の状況は乗り越えられない。給付金を国に頼らない支援金に変えたい。寄付をまとめてくれる企業や団体を探しているが、進んでいない。心ある人はぜひ手をあげて欲しい。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。