この大いなる「グレー」な領域。憲法改正論議にいつまでフタをし続けるのか?

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

5月3日は憲法記念日ということで、各党から談話が発表されています。

松井一郎代表による憲法記念日について談話発表のお知らせ
https://o-ishin.jp/news/2020/05/03/9843.html

おりしも新型感染症が猛威をふるい、「緊急事態宣言」によってなし崩し的に私権と自由市場が侵害されている今、憲法とどう向き合うかという課題は避けて通ることができなくなっています。

個人的には、足元の状況については、まずしっかりと法律改正により対応することが第一であると考えています。さすがに今、ただちに憲法改正を発議せよとか、国民投票をやろうというのは優先順位が異なるでしょう。

しかし、その先にある憲法を「議論する環境」については当然に整えておかなければなりませんし、今の国会は残念ながらそういう環境が一切ありません。

「え、憲法の議論ってよくしているじゃん。今日もテレビでワーワーやっていたよ?」

と感じる方もおられるかもしれません。確かに国会の外・非公式での議論は騒々しい一方で、国会の中の然るべき場である「憲法審査会」は極めて低調となっています。

昨年、衆議院で数回ほど意見交換が開催されたのみで、年が明けてからは動きなし。参議院に至っては、なんと丸2年以上(!)も憲法審査会が開催すらされていません。

これについては我が党は昨年来、憲法審査委員会の委員長に早期開催を求める申し入れを行っています。ずっと開催されない委員会の委員長というのも何なのだか…。

参考:憲法審査会開催の申し入れ
https://o-ishin.jp/news/2019/images/6bcb7018a11e3a2d95821197e087f850cc7bb45f.pdf

優先順位に対して温度差はあれど、「憲法」が我が国の重要課題の一つであることは論を待ちません。

そして実際に安倍首相はこの「憲法改正」を重要公約として何度も選挙を闘い、威勢のよい言葉を使う割には、強いイニシアチブを発揮する気配が感じられません。

国民主権を掲げる憲法が一度も国民投票を経てないのは大いなる矛盾である。国民が主権を行使する国民投票を実施し、真に国民の手により憲法を定めることが憲法のあるべき姿と考える。

私はこの松井代表の言葉がすべてだと思います。

憲法を改正を、するならする。しないならしないで、「今の憲法は私たちが自ら選択したのだ」という結果を残して継続する。

玉虫色でお茶を濁すのが日本社会の知恵だとはいえ、本質的な問題解決を先送りして逃げ続け、しかもそれを自分の政治的主張として利用しているという点では、安倍総理が率いる与党も、一部のビジネス野党も「どっちもどっち」ではないでしょうか。

自分の憲法に関する向き合い方を振り返ってみると、おそらく最初に疑問を感じたのは中学生くらいだったと思います(小学生の時に何を思っていたかは忘れた…)。

「自衛隊って明らかに軍隊なのに、なんで軍を持たないとか書いてあるの?ウソじゃん!」

というのが率直な感想でした。

その後、以前に何度か書いた通り中学生の私は「戦争論(小林よしのり)」に影響を受けたことでやや右旋回していくのですが、まあそれは置いておきまして。。

ここ最近、私はパチンコや性風俗など、日本社会が「グレー」な状態で曖昧にしている社会課題を取り上げてきました。いうなれば、この憲法こそがその最たるものです。

最高法規である憲法に、こんなあからさまな矛盾・グレーゾーンが残っていることが許容されているんだから、そりゃ社会にも色々なグレーゾーンが生じますよね。

以前に三浦瑠麗さんが「中学生が読んで違憲となる憲法はおかしい」と述べておられましたが、私もこの点にはまったく同感です。

令和の時代。私たちは昭和から先人たちがずっと先送りしてきた課題に正面から取り組み、社会の「グレーゾーン」をあるべき姿へと変えていく責務があるのではないでしょうか。

とはいえ、いきなり憲法9条改正のハードルが極めて高いことは承知しています。

そこで我々はまず「教育の無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置」の三点を改正議論のポイントとしてあげており、最近では「公文書館の憲法機関化」なども主張しています。

いずれにしても、まずは憲法審査会を両院で開催し、どのような結論になるとしても、議論をスタートするのが必要不可欠。

この憲法記念日に改めて憲法問題を提起するとともに、さはさりとてまずは新型コロナウイルス対策に全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年5月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。