5月20日にコネチカット州の外出禁止措置が緩和され、全米50州(ワシントンD. C.は6月8日まで)が経済活動の段階的な再開に着手したことになります。
早速、ツイッターやフェイスブックなど様々な画像が飛び交っています。特にリベラル派を中心とした外出禁止措置の緩和反対派は、混雑するビーチの写真などを取り上げ、第2波の到来を警告する状況。一連の写真をみると、マスクどころかソーシャルディスタンシング、社会的距離すら維持されず、苦言を呈したくなるのも頷けます。
でも、経済活動再開の効果は6月まで待たないと小売売上高や鉱工業生産など実体経済の数字を確認できませんよね?実際の数字が気になるところ、以前こちらでご紹介したレストラン利用状況を拾ってみました。
国別でみると、レストラン予約大手のオープン・テーブルが網羅する7ヵ国のうち、やはりドイツが突出しています。ドイツの経済活動再開が5月4日(レストランなど全ての商店は同9日)と欧州各国の中で比較的早期だった結果、5月23日時点で予約状況(電話予約、オンライン予約、予約なし全て含む)は前年比60.5%減でした。7ヵ国全体の同87.8%減と比較すると、改善が著しいですよね。逆に最も弱い国はロックダウンが続く英国で同98.0%減、米国は同87.0%減でした。
チャート:7ヵ国別の動向
米国ではどうでしょうか?人口が多い州の他、初の感染者を確認したワシントン州、さらに積極的な経済活動再開にトランプ大統領が物申したジョージア州を比較してみました。経済活動の再開について指針表明後にトランプ大統領が言及し、4月20日から外出禁止措置の緩和を講じたテキサス州が前年比63.2%減と最も改善し、次いで5月4日に緩和したフロリダが同66.4%減、ジョージア州は同66.4%減となっています。緩和解除が5月以降となったカリフォルニア州は同96.3%減、NY州は98.6%減、ワシントン州に至っては依然として99.1%減という状況です。
チャート:主な7州の動向
ちなみに、上位3州と下位3州はこちら。1位はサウスカロライナ州で同57.8%減、2位はアラバマ州で同59.6%減、3位はアリゾナ州で同59.9%減となっています。上位3州は共和党知事であり、早期に再開させた共通点がございます。
チャート:上位下位3州
下位3州は1位(全米50位)がマサチューセッツ州で同100%減、ハワイ州が同99.98%減、イリノイ州が同99.96%減でした。マサチューセッツ州の知事は共和党に属しますが、GDPに占める教育・ヘルスケアが3位とシェアが多い事情が影響したのか、レストランを始めとした再開に慎重になったとみられます。ハワイ州は19の島と環礁から成る都合上、沖縄と同じく医療崩壊が発生しやすい事情があるのでしょう。イリノイ州は陽性率の高さが仇となっているもようです。
チャート:各州のレストラン再開動向と陽性率
いずれにしても、改善した州でも未だ前年比で50%以上の減少率となっています。それもそのはず、レストランの再開を承認した州でも稼働率を25%から50%へ引き上げるなど段階的にとどめているためです。株価の戻りは昇竜のごとしですが、少なくともレストラン業界の回復には未だ時間が掛かりそうです。2月時点でレストランを指す食品サービスが雇用のシェアが全体で約8%を占め、且つ失業者の増加が最も多い業種であることを踏まえれば、レストラン・オーナーでなくても胃が痛くなりそうです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年5月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。