朝日が報じていたとおりの展開になっているのだから、件の朝日の記事は検察側のリークを受けたものだったろう。
後述のとおり、検察のリークをそのまま記事にすることがジャーナリズムとしていいことかどうかの議論はあるが、まあ、検察のリークをそのまま書いておけば間違いを犯す可能性は殆どないと言っていいだろう。
少なくともフェイクニュースではなかった。
別の世論をことさらに誘導するようなニュアンスもなかったから、これはこれでよしとすべきなんだろう。
もっとも、検察のリークに対して何の批判もしないのが、この種の記事の欠陥で、やはりジャーナリズムの在り方としては大いに問題あり、とは言っておいた方がいいだろう。
先日も言及しておいたが、河井夫妻から現金を受領した地元議員らについては刑事処分見送りの方針を固めた、ということの意味が問題になる。
「見送り」は、どうやら最終的な処分ではないらしい。
言ってみれば、とりあえずは見送る、という程度のニュアンスなんだろう。
「見送り」の方針は、状況次第では撤回されることもある、ということなんだろうと思う。
河井夫妻の裁判はいわゆる百日裁判で行われることになっているようだが、河井夫妻から現金を受領した地元議員が次々に証人として河井夫妻の公判廷に呼ばれるはずである。
河井夫妻は買収の意図を否定しているようだから、結局は河井夫妻から現金を受領した側の証言で当該現金の趣旨を認定することになる。
既に捜査段階で地元議員側の供述はしっかり取っているはずだが、河井夫妻が地元議員側の供述調書を不同意にすれば、結局は地元議員の公判廷での証言が重要になる。
検察側が「刑事処分見送りの方針」を固めた、というのは、結局は地元議員側が公判廷でどういう証言をするのかを見極めよう、ということなんだろう。
河井夫妻の公判には全マスコミが注目するはずである。
約100日間公判が続くということになれば、これから3か月余り安倍総理も自民党執行部も河井裁判に掛かりきりになる、ということだろうと思う。
これは、安倍総理にとっても自民党にとっても容易ならざる事態である。
安倍内閣の支持率が低下していくことは必至である。
自民党のダメージもそれなりにあるはずだ。
さて、自民党は、このままずるずると河井裁判を引き摺るのか。
私は、どこかで自民党なり安倍総理は乾坤一擲の大勝負を仕掛けるんじゃないだろうか、と思っている。
ご参考までに。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年7月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。