宿泊ありきの「ハズレ視察」に税金投入は許されない

芦田 祐介

写真AC:編集部

「管外視察には当たりハズレがありますね」。関西若手議員の会で知り合ったある市議会議員がこのように言っていた。

京都府久御山町議会の議会図書室に保管されている過去の視察報告書を閲覧し、2011年以降における常任委員会の視察先を一覧にしてみた。

まず気になったことは関西圏の視察は三重県四日市市のみであったことである(三重県のウェブサイトによると同県は関西圏と中部圏方の両方に属するという見解が掲載されている)。

関西圏に先進地が少ないのであれば仕方がない。ところが関西圏以外の地方議会の視察先を見ると当たり前のように関西圏を訪れていることがわかった。これでは宿泊ありきで視察先を決めているのではないのかという疑念が生じる。

写真AC:編集部

視察が必要に応じて行われるというよりも、視察予算があるからという理由で毎年の定例行事のようになっているようにも感じる。

委員会で先進地視察に行くのであれば、視察の目的を明確にしなければならない。今一度、視察に行くことが自体が目的になっていないか見直すべきである。

前回の記事「視察報告書のオンライン公開で議員のレベルチェックを!」では、ある議員によるA4用紙1枚のずさんな視察報告書を紹介した。今回も同じ議員による視察報告書を紹介したい。視察内容は「議会だよりの編集・発行」についてである。

まったくもってひどいクオリティの報告書である。視察1日目の山口県A市の部分では「議会だよりというよりは、市の発行している広報紙のような感じを受け、文字数も多く見やすいものには感じませんでした」とまさに忌憚のない感想が書かれている。

これでは何のためにA市に視察に行ったのか意味がわからない。そもそもA市は議会だよりの「先進地」なのか。せっかく視察を受け入れいただいたA市には大変失礼ではあるが「ハズレ視察」のように思える。

視察には貴重な税金が使われていることを忘れてはならない。先進地でないところに行って何の意味があるのか。視察先は十分に下調べを行い、選定は慎重におこなうべきである。税金の無駄使いをなくすと言っている議員が自ら「ハズレ視察」に行くことは許されない。

芦田 祐介 京都府久御山町議会議員(地域政党京都久御山党)
1983年生まれ、同町議会最年少議員