白けた与野党トップ選挙:遅れたデジタル化を早急に!

立憲民主党と国民民主党が新党を結成して、その名称が「立憲民主党」で党首も旧立憲民主党の枝野氏と決まった。誰が考えても、国民民主党が立憲民主党に吸収されたとしか思えない。まさに、茶番劇の世界だ。

そして、テレビに映る人も、「昔の名前で出ています」ような人ばかりだ。総選挙を間近に控え、自分の次の選挙に少しでも有利にという気持ちが透けて見える。日本のためにという声が、自分の選挙のためと聞こえてくる。選挙が終われば、また、分裂するだろう。

編集部撮影

自民党の総裁選挙も盛り上がらない。審判がストライクとコールした後にバッターボックスに入っているようなものだ。

官房長官と幹事長が並ぶと、「水戸黄門にでてくる悪代官と悪徳商人」に見えてくると、私の知人が言っていたが、日本からは水戸黄門が消えてしまったのか?そして、候補者が将来の消費税アップを口にすると、早速、新党から批判が出ていた。選挙に少しでも有利に働くなら何でもありだから、野党はダメなのだ。そもそも、消費税アップを決めたのは旧民主党政権の時ではなかったのか?天に唾して、ブーメランとなっている反省がないのだ。

とボヤいていても何も変わらないが、中島みゆきさんが引退するかもしれないというニュース(うわさレベルだが)は、同じ年に生まれた身としては考えさせられるものがある。私も、内閣府のプロジェクトが終わると同時に引退を考えている。沖縄の離島にこもって、美しい海を眺めながら暮らしたいものだ。台風は怖いが、台風で海水が混ざらないとサンゴが弱ってくるので、サンゴとカラフルな熱帯魚を維持するには不可欠だそうだ。時々、マンション情報を眺めているのだが、意外に高額で手が出ない。

しかし、あと2年半は国のために尽くしたい。人工知能やIoTを駆使した病院・医療の近代化は国の命運を握っていると言っても過言ではない。FAXでコロナ感染者情報を送っていた日本のアナログな非近代的なシステムは信じがたいものがある。

次期総理はデジタル化の重要性を理解されているようだが、医療分野は機微な情報を扱うので、プライバシーに関するセキュリティーと膨大な医療情報の活用という二兎を追うことが求められるのだ。多くの方は、自分には、間違いがなく、より正確な診断と、より適切な治療を受けたいと願っているが、それには、より多くの方の情報を活用する必要がある。しかし、多くの人は、自分の情報を利用してほしくないと考える傾向にある。NTTドコモの報道を聞く限り(起こったことは論外だが)、日本の情報管理は甘すぎるので、不安は尽きない。

そして、重要なことは、情報を使いたいと考えている立場で物事を強引に進めるのだはなく、情報を提供する側(患者さんや健診受検者)が協力することの重要性や必要性を認識できる方策をとることだ。何をどうすると、命を守る貴重な情報が得られることをわかるように示してほしい。だが、デジタル、データの議論の中に、あまり、医療という話が出てこないのが寂しい。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年9月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。