イージス代替艦「大型化」検討 政府、乗組員負担を軽減(東京新聞)
政府は、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画の代替策となる、迎撃装備を搭載した艦船について、大型化する方向で検討に入った。北朝鮮の弾道ミサイル警戒で過酷な勤務環境にある乗組員の負担軽減を図るため、居住空間を拡大する目的。イージス機能を持つ艦船としては、海上自衛隊で最大となる見通しだ。複数の政府関係者が10月31日、明らかにした。
最新鋭で最大のイージス艦「まや」(幅21m、基準排水量8200トン)より数m拡幅し、9000トン程度にする方向で調整する。
船体に余裕を持たせることはいいことですが、それだけでは抜本的な解決策になりません。
むしろ2クルー制を優先したほうがクルーの苦労は減るでしょう。もしくは、その両方が必要です。
ですが、ツークルー制にした場合に乗組員の確保が大変です。既存の旧式艦を大幅に退役させるべきです。すべての艦艇に2クルー制を導入する前提で、艦のポートフォリオを組むべきです。
アショア代替案にイージス艦の2クルー制が入っていない不思議。
岸大臣にも河野前大臣同様に護衛艦の実際の乗組員の充足率を質問しまたが、手の内を明かすことになると拒否されました。ですが100%ならば隠す必要がないわけです。
公開できないのは、充足率は公開できないほど、低い水準であると公言しているのに等しいわけです。さらに申せば海外派遣以外に医官は乗っていない。これで戦争できますか?
訳のわからない秘密主義よりも情報を納税者に開示すべきです。そうすれば充足率を高めるための議論も起こるでしょう。隠しておけば非難されないというのは自閉的であり、納税者を小馬鹿にしているからです。
それから以前も申し上げましたが、ミサイルのセルを増やすべきです。
対中国を念頭におけば、北朝鮮の弾道弾だけでなく、護衛艦隊は対艦用弾道ミサイル、そして航空機や艦艇からの対艦ミサイルの飽和攻撃に備える必要があります。両方に対処するためには現在のイージス艦よりも多くのミサイルを搭載する能力が必要です。また実際にミサイルも搭載しなければならない。そのためには削らないといけないものを決めるべきです。
護衛艦は、FFM以外はすべてイージス艦でもいいでしょう。FFMは海賊対処などに使用すればいい。ただし省力化が必要です。省力化によって乗組員の数を減らす努力が必要です。また船体を大型化するならば特殊部隊や水陸機動団の投射能力をもたせることも検討すべきです。
また機関も考慮が必要です。ガスタービンで30ノット以上をやめるべきです。欧州のように26~28ノットで十分です。機関は統合電気推進にすべきです。そうすれば調達単価も下がるし、ライフサイクルコストで燃料代が100億円単位で減らすことができます。
ただ将来のレーザー兵器などの搭載などの為の冗長制を確保するために余力は確保しておくべきです。
また個艦防御、特に態度ローンのためにOEセンサー、12.7ミリ及び、それ以上の20~40ミリ機関砲を搭載したRWSも採用すべきです。それから非現実的なSPY7はやめて、SPY6にすべきです。
はじめからSPY7を採用しないといけない大人の事情で現場の負担と税金の垂れ流しをやめるべきです。
新たなイージス艦の建造費と搭載ミサイルの大幅増は辺野古の埋め立てやめれば簡単に手当できます。
■本日の市ヶ谷の噂■
DDHいずもは当初ディーゼルを用いた統合電気推進を採用する予定で、これならばライフサイクルコストの燃料費を400億円節減できたが、IHIと天下りの圧力で馬鹿の一つ覚えの30ノット以上、ガスタービンに偏向され燃料費垂れ流しとなったとの噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。