統計王子、映画『なぜ、君は総理大臣になれないのか』でも知られる立憲民主党小川淳也議員の新型コロナウイルス感染が明らかになった。心から「お大事」にと言いたい。無事を祈っている。
彼の映画は劇場で見て、最初から最後まで何度も泣いた。はやく回復し、あのキレのある代表質問を期待したい。
ただ、この「コロナ感染謝罪」については首を傾げてしまった。なぜ謝罪したのか?何に対して謝罪したのか?この謝罪は悪しき前例にならないか?幼少期から一貫して野党を応援してきた立場として、忘恩的な言動はいかがなものかと思ったが、ここで主張しなければ人類滅亡の危機にも直面すると直角し、微力ではあれど無力ではないと信じ、居ても立っても居られなくなり、キーボードを叩いた次第である。
いや、気持ちはわからなくはない。入院することにより活動が制限される。国会議員として、代議士としての仕事を存分に行うことができない。国民の代表であり、文字通り「代わりに議論する人」である。彼ならではの責任感ではあるだろう。
ただ、新型コロナウイルスについてまだまだ解明されていない点も多く、完全には防ぎようがないわけで。「対策を怠っていた」「不謹慎なことをしていた」などの場合ではない限り、謝罪するのは違うのではないか?むしろ、感染した人=悪い人とならないことを懸念している。
国家議員も人間である。いかにも愚直でデキる人イメージの彼も感染するのだから「皆さん気をつけましょう」と呼びかけるくらいでよかったのではないか。さらには、この感染体験をもとに、するべき対策を提言してほしい。
この愚直さゆえに、ますます皆、彼のことを好きになるし。一方で、優秀でいい人だけど、総理大臣にはなれないなあと思ってしまうのだが。
国会議員に限らずだが。新型コロナウイルス感染に関しては、前述したとおり、よっぽど無防備だった場合や、あまりに不謹慎な行為をおこなっていた際以外は、謝罪してはいけないと私は考える。職場や学校などで感染者が出た場合もそうだ。ここで謝罪してしまうと、(繰り返しになるが、よっぽどの過失がないかぎり)感染した個人が悪者、晒し者になってしまったからだ。
感染した学生の一日も早い回復を祈りますとともに、感染者やその御家族の人権尊重・個人情報保護に御理解と御配慮をお願いいたします。
ある大学の新型コロナウイルス感染者発生のリリース文である。配慮が行き届いている。感染した人を悪者扱いしてはいけないのだ。新型コロナウイルスへの対応についての議論を職場、学園で巻き起こせ。
編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2020年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。