朝令暮改の覚悟なき政治

11日にインターネット番組で、緊張感なく「ガースーです」とにやけ顔で挨拶してから、わずか3日間で、急転直下「年末年始の全面的なGoTo停止」となった。テレビでは、旅行業者がアタフタとして、対応に追われていた。お気の毒で、心が痛む光景だ。

それにしても、何とも覚悟の定まらない政治である。GoToを継続する根拠も示さず、説明もしない。よほどの根拠と覚悟があってのことだと思ったら、あっさりと3日前の発言を翻す。しかも、28日から1月11日までの停止となり、明日から27日までの間にどうするのかは、混乱の極みだ。テレビを見ていてもよくわからない。昨日、「二人の菅総理」について述べたが、混乱の民主党政権と重なって見えてくる。危機対応としては、あまりにも遅いし、観光業界・飲食業界は右往左往だ。具体的な制度設計ができないままの思い付きの政策決定であることが明白だ。

「勝負の3週間」も、誰が誰に対してどのように勝負するのかが伝わっていなかったという批判があるが、主語がはっきりしなかったのだから仕方がない。どこから見ても内閣支持率の急落と感染症対策への低評価を受けてのドタバタ劇だ。あと2週間で医療機関が年末休暇に入る。28日からではなく、今すぐにブレーキをかけないと年末の医療は大変だ。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年12月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。