難問に向き合い続ける時代の人づくり

2020年12月16日 06:00

metamorworks/iStock

この度、国立福島大学の学長特別顧問に就任しました。福島大学も、震災当時小学生だった学生がほとんどになっていますが、まず、東日本大震災からの復興を風化させないために、私なりに頑張って発信していこうと思います。

また、福島大学は、国が現在計画している福島県沿岸部の「国際教育研究拠点」づくりなどにも貢献していく予定です。福島大学が国内外の知恵と人脈を集結し、地域を結びつけるハブとなります。この構想の実現・発展に向けても、三浦浩喜学長のお力になりたいと思います。

東日本大震災の時、私は文部科学副大臣でした。そして震災後、OECDが子どもたちの教育を通じた復興サポートとして「OECD東北スクール」プログラムを構想した際、私が日本側の窓口として折衝し、後押しをいたしました。

このプログラムは、地域の復興を担う人材とグローバルで活躍する人材を育成することが目的で、福島大学が事務局を担っていただき、この時、三浦先生をはじめ、大学のみなさまから多大なご尽力をいただきました。

OECD東北スクールは2012年3月、約100人の中学生・高校生が東北各地から集結。2014年8月、OECD本部のあるパリにて、世界に向けて東北の復興をアピールするイベントを開催・成功させるというミッションに向けて学び、企画し、実践するという空前のプロジェクト学習でした。そして「復幸祭」と銘打ったイベントは2日間で15万人が来場する大成功でした。

このときの日本の高校生の各国の大使や大臣へのプレゼンテーションが共感を呼び、OECD教育2030プロジェクトが立ち上がりました。

国内でも、イベント終了後、東北の子どもたちの情熱と成功体験をその場で終わらせず、さらに全国に展開していこうと、新たな構想「地方創生イノベーションスクール」に引き継がれていますし、福島県立ふたば未来学園も創立され、未来創造探求の先進校になっています。

子どもたちにとって学びの核心となるのは、緊張とジレンマを克服すべく苦闘して身につけた経験と自信です。これが、まさに大人になって、「正解」も「前例」もない、難問ばかりのいまの世の中に巣立っていった時、それぞれの強みになります。

東北、福島は震災のあと、高齢化や医療過疎といった問題が顕在化してきました。そして今年のコロナ禍にあって、東京、日本全体も高齢化、デジタル化の遅れといった難問が噴出しました。

いまの大学生の世代は、令和の時代を担い、22世紀への道を作っていくことが使命である一方で、そうした難問から逃げずに粘り強く向き合い、「解」を考えていかねばなりません。学びの場を提供する教職員も、当事者の一人として背中を見せ、若い人たちに何かを感じ取ってもらわねばなりません。福島で学びのカタチをつくり、東京、日本、世界へ発信する…。私もその一翼を担う覚悟です。


編集部より:このエントリーは、TOKYO HEADLINE WEB版 2020年12月14日掲載の鈴木寛氏のコラムに、鈴木氏がアゴラ用に加筆したものを掲載しました。TOKYO HEADLINE編集部、鈴木氏に感謝いたします。

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東大・慶応大教授、社会創発塾塾長

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