イギリスの第1波と第2波の傾向はスウェーデンと全く同じ。ということは…

永江 一石

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またまたこういうニュース

英 新型コロナの新たな変異種“感染力7割増” ロンドン事実上のロックダウンへ

ジョンソン首相は19日、臨時会見で新型コロナの変異種について初期の分析結果として、次のように述べました。
「不確定なことは多いのですが、新たな変異種は従来のものと比べて感染力が最大で70%強い可能性があります」(ジョンソン首相)
会見に同席したヴァランス首席科学顧問は「ウイルスは常に変異を続けるもの」だとした上で、この新たな変異種については変異した部分が23か所と非常に多く、細胞にとりつき入り込む働きに関係する部分に変異が見られると明らかにしました。この変異種は9月半ばにロンドンや南東部に出現し、今月中旬にはロンドンの新型コロナ症例の6割以上を占めるまでに急速に拡大しているということです。ただ、重症化率や死亡率が高くなったりワクチンやこれまでの治療の有効性に影響したりする証拠はないとしています。

イギリスの感染者数と死者数の推移はこんな感じになっています。


確かに第1波と比較して爆発的な感染力です。しかし死者との累計を見ますと

第1波の感染者数29万人 死者数40000人
第2波の感染者数170万人 死者数27000人
※死者数は人口揃えると日本の43倍

第2波は第1波の約6倍の感染力で死者は7割

ということになります。トータルの脅威ではかなり落ちています(1波の致死率は14%、2波は1.5%)が感染力が強いから死者は7割程度出ているということになる。

で、スウェーデンもイギリスと同じように

第1波の感染者数8万人 死者数5700人
第2波の感染者数32万人 死者数2200人
※死者数は人口揃えると日本の34倍

第2波は第1波の約4倍の感染力で死者は4割

つまりイギリスとスウェーデンは第1波と2波の傾向値がほぼ全く同じです。(感染者数の比率×致死率)
しかし致死率はロックダウンしたイギリスの方が規制の緩かったスウェーデンより高い。ロックダウンはトータルの致死率には影響がないと言えるのではないか。

ちなみに日本では

東京では11月以降の死亡率は
50歳以下 男性0.07% 女性0.02%
※インフルエンザは0.01%だから50歳以下はインフルと同じかやや高いくらい
全体を通しての死亡率は0.5%まで下がりました。当初は5%といわれていたので1/10まで低下。11月以降では死者の平均年齢は78.1歳 死者のうち院内感染の占める割合は42.6%

わたしは1ヶ月半前にこんな予想を書きました。

ヨーロッパで再び感染者数が爆増するも死者が全然でない理由を考えてみよう

 

PCR検査をし続ける限り永遠に陽性は出ます。その数は増えたり減ったりしますが、全国で100人を切ったりすることはないでしょう。ピーク時の5月から時間経過をして秋には抗体が切れる人が多く出るため再び陽性者数はぐんと増える可能性があります。
しかしここからが重要で都市部では死者はほとんど出なくなる

※基礎疾患のある高齢者の院内感染は除くと考えます。

とまあ、だいたい当たってるのでは?
東京では感染者数は非常に増えましたが重症者は第1波の6割。同じ都市部の大阪は

施設内感染日本一ですから死者も出ます。

この中に
スペイン発のコロナ変異体、欧州全土へ感染拡大=研究報告

と、日本でも同様に
コロナ、変異で感染力強く 東大がハムスターで実験

現在世界で流行中の新型コロナウイルスは、初期のウイルスに比べ、変異によって感染力が強くなったことをハムスターの実験で確かめたと、河岡義裕・東京大医科学研究所教授らのチームが、13日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。新型コロナは当初、中国・武漢市で流行したが、チームによると、感染に関わるタンパク質が変異したウイルスが出現。この変異ウイルスが欧州を起点に世界へ広まり、拡大を続けている。

というのを紹介してしました。

ただ、このスペイン株とイギリスから欧米に飛び火している(と各国が思ってる)株が同じかどうかは定かではありません。しかしイギリスとスウェーデンの広がり方が同じ事を見ても、すでにヨーロッパでは「感染力が強くなった代わりに致死率が下がったウイルスが第2波」と考えるのが妥当なように思う。

この仮説なら
新型は非常に感染しやすいが致死率は大きく下がった

といえるわけで、かかりやすい代わりに基礎疾患がある高齢者でないとなかなか死に至らない。で、日本はと言うと


基本的にわたしは第2波は第1波の揺り戻し【PCR検査の基準が変わった】と考えているので1波と2波をまとめて1波にして、3波を2波として考えていますが、

第1+2波の感染者数8.5万人 死者数1500人
第3波の感染者数11万人 死者数1370人

となり、感染者数はそれほど増大していない。すでに新しい株が欧州からの帰国者によってもたらされているが欧米と東アジアでは感染するしきい値が違うのかもしれない、が、これが1日5000人以上の新規陽性者になったら確実に新株ではないかと思います。しかしその場合は重症者の数は変わらなくても重症化率は相当に下がるのではないかと思われます。

ところで今朝、テレビを見ていたら
志らくさんが突然、重症が600人ってフランスならコロナ終わってるレベルっていい始めて驚いた。
橋下さんが、日本で医療崩壊を欧米の数十分の1の規模で騒ぐのは受け入れる病院がわずかだからと言ったら、北村先生が「その通りです。世界一の人口あたりの病床数なのにそもそも、ベッドが不足するなんてありえない」と言い出したのでぶっ倒れそうになりました。

番組の終了が決まったらしいのでみんなが本音を言い出したのかな・・・


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年12月21日の記事より転載させていただきました。