政策転換すれば、冬のあとに春は来るはずだ!

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新年あけましておめでとうございます。

と言いたいところだが、とても新年を祝う気分にはなれない。

昨日は、東京・全国共に最多感染者を記録した。しかも、増え方が尋常ではない。理由として、帰郷前に民間クリニックでPCR検査を受けて感染が確認された人が多かったからだと説明するコメンテーターがいたが、それが事実であれば、これまでの対策が不完全であったことを意味する。無症状感染者が市中感染を広げたならば、正月休みが明けて日常が戻れば、さらに感染拡大が起こる。

症状が出た人だけを追いかけている間に、症状が出ない人が相当感染を広げていたことになる。季節インフルエンザが1-2月にピークを迎えることを考慮すれば、正月休み期間中に行動自粛に努めて、いったん減少傾向に転じたとしても、人の動きが戻れば、コロナ感染のピークは1月後半から2月にかけてくることになる。

私は昨年4月に感染爆発が来ると思ったが、私の懸念は杞憂に終わり、奇跡が起こった。しかし、暑くなると収まると期待された感染は収まらなかった。赤道周辺諸国でも感染が続いていたので、疫学的には当然のことだが、インフルエンザのようには収束しなかった。そして、インフルエンザ感染が広がらない状況の中でもコロナ感染症は猛威を振るっている。感染に非常に気を付けているし、鎖国でインフルエンザが日本に入っていない状況だからインフルエンザが抑えられているというが、コロナ感染症は広がり続けている。その大きな理由のひとつが、無症状感染者という厄介な存在だ。

インフルエンザは潜伏期間が短く、症状が出ると寝込んでしまう。私はインフルエンザに罹患した記憶がないので、その辛さはわからないのだが、症状が出れば行動が制限されるので感染の広がりは避けられる。しかし、コロナ感染症では、無症状者は行動は制限されないので感染を広げる。したがって、無症状感染者の存在と暑さにも比較的強いことが確認された時点で、これまでわれわれが経験した感染対策と異なる対策をとる必要があったのだ。

オールジャパンで対策を・・・・・それは正しい。しかし、事実から科学的な考察ができない一握りの人達が科学行政を牛耳ることなど、どう考えても間違いだ。地上に出現したモグラを叩くだけではなく、地下に潜んでいるモグラまで絶滅させる対策が必要だ。そして、私が恐れるのは進化を遂げ、地下深くで広がっていくモグラの出現だ。RNAウイルスの変異率の高さとワクチンの作り出す抗体のイタチごっこがこれから始まる。

危機管理は最悪を想定するという基本を考えれば、PCRによるすべてのモグラの追跡と根絶が必要だ。その道のりは容易ではない。しかし、コロナを乗り越え、経済を回復して、オリンピック・パラリンピックの開催し、2022年の新春を祝って迎えるには、回り道に見えてもこの方策しかないと思う。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2021年1月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。