「韓国政府に馬鹿にされないための基礎知識」の中で、「韓国の卓袱台返しに対抗するためには、本当に彼らが嫌がることをすること、少なくとも脅かすことが必要」として5つの提案をしました。これについてもう少し説明したいと思います。
私は、すでに2017年末に刊行した『韓国と日本がわかる 最強の韓国史』(扶桑社新書)において、徴用工と慰安婦を念頭に「韓国の卓袱台返しに」するに何ができるか」というタイトルで3点の方策を提案していました。
- ①日本人が半島に残した個人財産への補償を要求
- ②対北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)
- ③三代目以降に特別永住者の地位を認めない事(日韓基本条約上は可能)
それに加え「捏造だらけの韓国史 – レーダー照射、徴用工判決、慰安婦問題だけじゃない」(ワニブックス、電子版もあり)で以下のような提案をしました。当時、政治家のあいだでも注目いただいたものですが、あらためて提案します。
- ④歴史教科書における近隣国条項を韓国に限って撤回
- ⑤韓国大衆文化の流入制限(韓国が日本にしているのと同じ程度)
ネットでは、「国際社会からポリコレで叩かれそう」、「極右国粋主義」などといったコメントもいただきましたが、通商産業省(現経済産業省)時代に担当課長として日韓外交に当たっていた経験も踏まえ、国際的な外交の常識、法的な問題も考えての提案であって、それほど非現実的なものではありません。
ただし、こうした措置の全てをすぐにしろとはいうつもりも、したいわけでもないことは、強く念を押しておきます。
ただ、韓国・北朝鮮によるちゃぶ台返しの連続を、指をくわえて見ているだけでは芸がありません。いざとなれば、こちらにも「究極の対抗策はあるのだぞ」ということをシミュレーションしておき、その上で実施の可能性をちらつかせておくべきだというのが私の考えです。
日本はそこまでする気だと表明しないと、今後も「やった者勝ち」の状況が続きかねませんし、それでは、いつになっても、日韓はいつになっても正常な関係を持てません。日韓関係を前向きな方向に転じるためにこそ、日本がやられっぱなしで済ませてしまう悪循環を絶ち切るべきなのです。
徴用工問題で日本企業に実害が出たり、慰安婦問題の日本政府への暴挙を韓国政府が放置するならば、この5つの報復措置を、実行に移すべきだと提言します。
こうした武器をちらつかせておかないから、韓国政府によるいい加減な対日発言を許し、裁判所が取り返しのつかない判決を出し、韓国の世論がカラ元気を出してしまうのです。
それでは、私が提案する五項目の内容について少し解説していきましょう。
①日本人が半島に残した個人財産への補償
日韓基本条約締結に伴う協定および交換公文において、それぞれの国や企業、個人の財産や請求権については放棄され、保障が必要な場合は、それぞれの政府が国民に対してすることになりました(ただし、戦後において住んでいる人たちの財産は例外とされ、これによって在日朝鮮人の財産は保護されました)。
一応、相互主義になっていますが、官民ともに日本が朝鮮半島に持っている財産や請求権のほうが桁違いに多いわけだし、戦後も韓国にとどまった日本人より逆のほうが多いので、実質的には不平等条約でした。
ポーランドやチェコにおいてはドイツ人資産の返還もされており、韓国が個人請求権を言うなら、日本側も蒸し返しはあり得るという立場を取るべきです。また、北朝鮮に対しては、国有財産も含めて白紙の状態であることは知っておかなければいけません。
②対北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)
日本は、1965年の日韓国交回復時に「日韓併合が合法的だった」という立場を崩さず、賠償は行いませんでした。しかし、「日韓併合条約はもはや効力を有しない」という玉虫色で合意し、実質的には賠償と同じ効果を持つ経済協力を行いました(無償1080億円、有償720億円)。
このとき北朝鮮はあくまでも賠償を求めるべきだと批判。日朝交渉においてもそれに固執せざるを得なくなって、国交交渉に入れませんでした。
ただ、2002年の小泉訪朝時の「日朝平壌宣言」では、国交樹立の際には韓国の場合と同じような条件とすることで合意しており、経済協力の額は一兆円以上と理解されていたと思います(韓国への経済協力と同程度だとした場合の金額。さらに北は小泉訪朝から時間が経過していることから何倍にも増額を期待しているといわれます)。
しかし、これは条約ではないですし、その後の北の暴虐ぶりはこれを反故にするに十分です。さらにいうと、日朝国交回復がないまま南北が統一された場合には、この約束を維持する理由はありません。
統一をするかしないかにかかわらず、韓国の文在寅政権は日本による北の復興支援を非常に期待しています。なぜなら、日本が経済協力をしないとか、金額を値切ることになると、韓国の負担が大きくなってしまうからです。
それは韓国にとって一大事、困った事態になるのは間違いなく、逆にいうと日本にとっては強い武器となるわけです。
③三代目以降には特別永住者という扱いをしない
日韓の合意では「資格は二代目まで継承できることとし、三代目以降については25年後に再協議する」ことになっていました。
1991年に入管特例法により三代目以降にも同様の永住許可を行い、朝鮮籍、台湾籍の永住者も合わせて「特別永住許可」として一本化しました。しかし、この制度を永久に維持するかどうかは日本が決めることです。
この措置を撤廃すれば、在日三世以降は他の外国人と同じようになり、犯罪を行ったときなど国外追放もできるようになります。そもそも、「特別永住者」という制度をいつまで存続させるべきなのかについては、議論をしてもいいことでしょう。
また、日本に帰化するときに、韓国が帰化希望者に要求しているような「忠誠宣言」を現在は要求していませんが、これは世界の常識に従って要求するべきものです。
パスポートや就職などの便宜のために、気持ちは韓国人のまま国籍だけ日本に帰化する人が多いので、これも改善する必要があります。
さらに、追加した二つの措置については以下の通りです。
④歴史教科書における近隣国条項を韓国に限って撤回
「近隣諸国条項」とは、文部科学省「教科用図書検定基準」に定められている「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」という規定のことです。
「高等学校用の日本史教科書に、中国・華北への『侵略』という表記を『進出』という表記に文部省の検定で書き直させられた」という日本テレビ記者の取材をもとにした誤報が発端となって中国と韓国が抗議して外交問題となり、『「歴史教科書」に関する宮沢喜一内閣官房長官談話』(1982年)が出され、それに基づいて定められたものです。これが中国や韓国が日本の教科書の記述内容に介入する口実になり、さらに韓国はエスカレートして、古代史の分野でも「任那」の存在を否定するよう要求をするに至っています。
この官房長官談話が、近代以外には適用されないことを明らかにするとともに、さらには、韓国についてのみ撤回すればいいでしょう。
⑤韓国大衆文化の流入制限
かつてほどではありませんが、韓国の地上波放送では、相変わらず日本のドラマやバラエティ番組のオンエアは禁止されていますし、音楽などの他の分野でも強く抑制されています。日本でも、韓国での日本大衆文化流入制限が撤廃されるまで、同様の措置を取り、量的にも均衡したものにする措置をとるべきです。
特に、韓流の歴史ドラマは日本人の歴史認識を歪めるような演出のあるものが多いのも問題です。日本の歴史ドラマでは、注意深く国威発揚にならないように自主規制がされます。韓国は逆です。
また、あとで触れますが、元寇を扱っても高麗の役割は隠されます。大河ドラマでは文禄・慶長の役は避けられ、とくに、日本軍の勝利の場面はタブーです。西郷隆盛は征韓論がネックになって長く主人公になれませんでしたが、2018年の「西郷どん」では、本当は戦いを望んでなかった的な粉飾がされていました。
中国や韓国・北朝鮮がドラマなどを通じて国威発揚に励んで日本は、それを抑制していて、安全所掌などできないのです。