究極とはEV&FCVエクステンダーモデルですVol.1

衆議院議員時代、IPHE国際水素会議に参加す為、仏国グルノーブルに訪問したことがあります。グルノーブルは、日本で言えば筑波学園都市のような所で、官民研究機関がたくさんあるのです。冬になると多くの人が着る「Mon cler(モンクレール)」は、グルノーブルの郊外に位置するMonestier-de-Clermontで創業されて頭文字をとって「Mon cler」と名付けられたそうです。会議に参加するだけでなく、水素に関わる官民の研究機関に視察に行き、意見交換をしてきました。

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日本で言えばNEDOのような機関とも言うのであろうか、仏国原子力・代替エネルギー庁先端技術局代替エネルギー・ナノ材料技術研究所(CEA TECH LITEN)の輸送機用蓄電池・燃料電池事業部長と燃料電池について、議論したことを思い出します。その部長から、「EV(蓄電池)に、LITENで開発した燃料電池と取り付けて、EV&FCV(燃料電池)エクステンダー自動車に改造しているベンチャーがある」と聞いたのです。「見に行きたいの是非、紹介して欲しい」と依頼すると「OK」と連絡を取ってくれたのです。それがSymbio社でした。今では、ミシュラン社の下、仏国フォルシオ社と合弁会社をつくり、燃料電池製造会社として、PSAグループに2021年に提供が始まると言います。

当時、Symbio社では、フランスポストで使用されていたルノー社カングーをEV&FCVのエクステンダーに改造していたのです。通常はプラグインで充電した電気を使って走行する。電気が無くなると燃料電池が稼働し、電気をつくる。正に電気と燃料電池のエクステンダーモデル自動車だったのです。僕はそれを見た時に身震いしたのです。これが、環境性能車としての究極かもしれないと・・。一般的な家庭のライフスタイルを想像してみると、平日、走行する範囲はワイフが、スーパーで買い物をする、子供の送り迎えをする、趣味のお稽古をする、走行距離は日に30㎞くらいだろう。この距離であれば、蓄電された電気、つまりEVで充分まかなえる。週末に、家族で出かけるとしても片道150㎞くらい、往復で300㎞くらい、この時は燃料電池を稼働する必要があります。週末に近所で過ごせば、燃料電池は使いません。結果的に水素ステーションに行く機会が減るという事になります。水素ステーション経営者には嬉しくない事ですが、車のユーザーにとっては嬉しいことです。EVの心配は、いつ電気が無くなるか心配な事。高速充填と言っても、誰から先に充電していたら2倍の時間を有します。FCVの心配は水素ステーションが近所に無いため、充填しに行く手間がかかるという事です。つまり、EV&FCVエクステンダーモデルは、利便性が高い究極の環境性能自動車ということになるのです。

環境と言う論点に立てば、化石燃料を燃焼する火力発電で生まれた電気、化石燃料の改質によって生まれた水素では、最終的なCo2削減と言う効果が薄くなってしまいますが、それも過渡期の出来事。将来は、水素燃焼発電、再エネ由来のCo2フリー水素が、主になる時代が来ます。

2020年秋、毎朝日課としている5㎞のランニングから自宅に戻り、玄関でストレッチングをしていると1台の車が通ったのです。「え・・何で・・・」。それは、グレーのメルセデス・ベンツGLC-Fcellだったのです。2019年東京モーターショーに出品されていたベンツの水素自動車。いつかは販売されるだろうと思っていましたが・・・、日本で販売されているのか?

早々に、ストレッチングを終了し、部屋に入るとPCを開き、メルセデス・ベンツのWEBを検索したのです。すると、HPの奥に入り込むとFcellが販売されていたのです。更に追っていくと六本木のメルセデスmeで試乗が出来ると書いてあるのです。申し込ページに行くと今日の午後に試乗が出来るというのです。

「究極とはEV&FCVエクステンダーモデルですVol.2」に続く・・・。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2021年1月26日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。