総務省幹部のすぐばれるウソにあきれる

2021年02月24日 06:00

総務省幹部らが菅首相の長男の勤める放送関連会社から接待されていました。同省の調査結果に対し、「疑念の解消には程遠い」(朝日)、「放送行政に疑念を深めた」(読売)と、怒りの声がしきりです。

写真AC:編集部

「東北新社から総務省幹部ら13人が接待、延べ39回60万円。11人を処分へ。長男の同席20件」が調査の概要です。接待の一覧表をみて「39回の接待費用が、総額60万円とは意外に安い」と思いました。

平均すると1回1・5万円です。飲食単価7・4万円(山田内閣広報官)と4・7万円(谷脇総務審議官)が突出しています。2人を除くと、大した接待金額ではないのです。

2万円から2・5万円が3回(2人)、1万円前後が4回、さらに数千円が6回もあります。金額にウソ偽りがないとすれば、「接待づけ」(朝日)と言い切れるほど大掛かりな話かどうか。

一覧表を眺めていて、「東北新社はどういう基準で金額のランクを決めていたのだろうか」「安い店にしてほしいと、官僚のほうが頼んでいたのか」とも、思いました。倫理規程では「割り勘でも1人1万円超の飲食は事前届け出」とありますから、その関係もありましょう。

利害関係者による接待、ゴルフ、金銭・物品の贈与禁止などを定めた国家公務員倫理規程がありますから、該当者は懲戒処分などを受けなければならないのは、当然です。

それにしても、菅首相の長男でなければボヤ程度で収まった話かもしれない。長男が絡むことで、首相を叩く格好の材料に格上げされたてしまった。「まずいことになった」と一番、思っているのは菅首相本人でしょう。

ともかく総務官僚がのこのこと13人も接待に応じるとは驚きます。警戒心はまるでない。1人ずつ声をかけた接待のようで、一本釣りですか。お互い何も知らなかったか、一本釣りで安心してしまったのか、お粗末です。

さらに、すぐばれる下手なウソを何度もつきました。最悪の展開です。それがニュース価値を一気に高めてしまった。国家官僚はいつから、こんな低レベルの人物ばかりになってしまったのでしょうか。

総務相を務めて官房長官、首相にという菅氏は、総務省を「天領」としてきました。小さな放送関連企業に入社した首相の長男の招きを幹部は断れきれなかった。忖度以上、首相への怯えによるのでしょうか。

野党議員が国会で「何を食べるとこういう金額になるのか。高いワインを飲んだのか」と追及しました。これが国会の質疑とは、あさましい限りです。野党議員のレベルの低さにも失望します。

「どうせウソをつくのなら、もっとばれないようについてしてほしい」と、つい思ってしまいます。東北新社側から声をかけられた局長が「東北出身者の集いと思った。利害関係者でないと思った」と、答弁しました。

「東北出身者の集い」とは下手すぎるうそです。スマホで検索すれば、「総合映像プロダクション、映画番組制作、CM制作、BS、CS放送関連事業」とすぐ出てきます。よく調べてから、ウソをつくことです。

週刊誌が密かにとった音声データを突きつけられ、「自分の声です。会食時の会話はほとんど記憶していません」と、局長は答弁しました。会食は12月10日ですから、2,3か月で記憶が薄れる。これでよく総務省の局長が務まる。ウソをつくなら上手についてほしい。

菅首相の答弁にも怪しいところがあります。長男の入社に関して「自分は関与していない」と強調する一方、「同郷の秋田県出身の創業者と長男を引き合わせたことはある」と、述べました。

正直に「同郷なので創業者によろしくとは申し上げた。ただし、特別扱いはしないでほしいと強くお願いした」とでも言っておけば、傷は軽くて済んだかもしれない。「一切、入社には関与していない」というほうが不自然に思われる。そんなことに気がつかないのでしょうか。

あれだけ検察人事に介入し、「剛腕官房長」といわれた人が「東北新社・長男ー総務省幹部」の関係を何も知らなかったとは信じ難い。少なくともそういう関係ができることを期待したとしか思えません。首相はもっと巧妙な語りができてもいいのです。なんで皆、へまばかりするのだろうか。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2021年2月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
ジャーナリスト、元読売新聞記者

過去の記事

ページの先頭に戻る↑