コロナ禍で人口が増えた州、減少した州

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HireAHelper/Flickr

若者を中心に郊外への引っ越し需要が高まったというお話は、2019年後半から何度かご紹介させて頂きました。コロナ禍が後押ししてきたことも、度々お伝えしております。

では、実際に人の流れはコロナ禍でどうだったのでしょうか?米国勢調査局が公表した20年7月時点の推計値を元に、人口増加のベスト10、ワースト10をみてみましょう。

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チャート:州別のランキング:My Big Apple NY 作成

ランキングをご覧になって、お気づきになられましたか?

そうなんです、人口増加の上位には”Calexodus=カレキソダス”、つまりカリフォルニア州からの脱出先として人気のアリゾナ州を始め、南部と西部が占めました。逆に人口減少で上位ランキングでは①気温の寒暖差が激しく、特に冬は極寒、②家賃が高い、③大都市圏、④産業面での競争力が低い(成長鈍化傾向)――などといった特徴を含む州が勢ぞろいしています。

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チャート:地域別、2020年の人口増減動向 My Big Apple N 作成

人口減少が著しい州で見られる特徴「①気温の寒暖差が激しく、特に冬は極寒」は、日本と比較してまだまだとはいえ、高齢化の影響が挙げられることでしょう。「②家賃が高い」はいわずもがな、「③の大都市圏」を含め、ミレニアル世代がhipturbiaと化し且つコロナ禍で在宅勤務が普及すれば、転居が進むというものです。

④については、人口増減はもちろん、IT化への移行やグローバル化など産業構造の変化(注:製造業から付加価値を伴うサービス業へのシフト、西部はIT関連を含む専門サービス業の比率が高い)が影響をしたとみられます。その結果が、金融危機以降で特に際立つ「成長率・西高東低の構図」なんですよね。

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チャート:コロナ前、2019年の州別成長率 (出所:BEA)

コロナ禍の影響という観点ではどうでしょうか?州別の10万人当たりの死者数の上位10州はニュージャージー州(262人、3月1日時点)、NY州(245人)、ロードアイランド州(236人)、マサチューセッツ州(234人)、ミシシッピ州(224人)、アリゾナ州(220人)、コネチカット州(214人)、サウスダコタ州(213人)と並ぶので、あまり関係ないように見えます。

また、人口が増加した上位3州(アイダホ、アリゾナ、ネバダ)と、ワースト3州(NY州、ハワイ州、イリノイ州)のモビリティ動向を比較をみても、コロナ禍の影響で大幅に落ち込んだNY州が20年夏にかけ急回復したほか、フロリダ州が夏場でも低水準で推移するなど、まちまちでした。

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チャート:人口増減別の上位3州、モビリティ動向 My Big Apple NY  作成

やはり、人の移動は職と住居ありきということが分かります。バイデン政権は追加経済対策で個人給付を手厚くし家計を支える方針ですが、問題はその後。企業がコロナ禍以前の水準を超えて雇用を増加させるほど経済が拡大しているかであり、中間選挙の結果はそこに掛かってくることでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年3月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。