ワクチン「上級国民」の出現は絶対に許されない

八幡 和郎

世界の常識では、高齢者施設の入居者など優先でワクチン接種しているのに、日本では、470万人もの医療関係者(厚生労働省では医療従事者等と言う言葉を使っている)をお手盛りで優先させるという暴挙については、「医療関係者のお手盛りワクチン優先接種は日本だけ」で告発の口火を切ったが、徐々に浸透してきているようだ。

sittithat/iStock

別のサイトで新しい動きも取り込んで、「ワクチン医療関係者最優先は日本だけの暴挙だった!ワクチン問題は選挙にどう影響するか?」というかたちで出したのでご覧いただきたい。

それにしても、ワクチン優先接種者470万人は人口の4パーセント、勤労者人口の7パーセント。一般人以上にコロナ患者によく接触するはずもない人たちも広く入っており、言ってみれば医療の「上級国民」らしい。

開業医などが家族に横流しなどしたら医師免許剥奪とかあらかじめ決めておかないと、横流しということもあるかもしれない。

ワクチンの瓶一本から6人分取れるはずが注射器についての不手際で5人分しかとれず、少し余るようだ。集めれば名簿にない人に接種するのも可能なので(カツオのトンカツといって分かる人いるだう)、余ったのをどう扱うか厚生労働省は明確にして横流しを阻止すべきだ。

これまでも、ワクチンが貴重な場合にはいろいろあったと聞く。

フランスでは3月15日から薬剤師が処方箋なしでもワクチン接種を打てることになった。日本と同じように医師の独占領域だったが政府が決断して反対を押し切った。日本も世界の医療の常識に従うべきだし、それをしないのは正義に反する。

ワクチンの筋肉注射は皮下注射より簡単で失敗がないし(ちょっと痛いだけ)、副反応が出たときも薬剤師で十分対応できる。筋肉注射だから難しいとか愚かなことを言うべきでない。

欧米で大丈夫だといって日本人に大丈夫とは言えないとかいう人は、日本人だけ特殊体質だとでもいうのか。今の世界で、日本に住むのは日本人だけでないし、フランスにもアメリカにも日本人は住んでいる。

ワクチンについては、世界中で多様化がどんどん進んでいる。そんななかで日本のファイザー一択はおかしい。いくつもの種類を併存させ、評価の推移をみながら軸足を動かすべきだと思う。

ドイツもアストラゼネカのワクチンを当初は効果に疑問があるなどといっていた65歳以上にも、接種開始を決めた。ファイザー限定には大きな疑問が残る。

ロシアのスプートニクはヨーロッパでも申請を出すらしい。6月に数千万余裕があると言うから、日本も選択肢として考えても私はいいと思う。怪しげなのはあまり治験をやらずに投入したことだが、もう大規模に実際に使って問題は生じておらず、90%以上の効力ありということらしい。

ワクチン接種の医療ツーリズムも出てきた。フロリダは行けば誰でもしてくれるらしいとか、キューバまでが始めたらしい。密かに中国などへいっている日本人もいるのではないかと思う。中国製でもロシア製でも受ける機会があれば受けた方が賢明だろう。

スペインでは、王女が父親のファン・カルロス前国王が亡命中の中東で優先的にワクチンを受けたとして大スキャンダルに。

日本でも海外で受ける人が増えるだろう。まあ、そのうちにヒステリックにワクチンのとり破りで誰が不正に優先して受けたとか言う騒ぎになって、あちこちで辞任騒ぎもおこるかもしれない。しかし、そんなときに、いちばん悪質なのは、医者自身による横流しだと言うことをいまから宣言しておこう。

しかし、この議論をしていると、医者が既得権益死守で感情的な反論をするのはまだしも理解できるが、医者でもないのに意味のない独占領域を熱烈擁護する人についての動機や心理の分析も必要だ。そんな医者を信用しても個人的にもろくなことないと思う。ほかのあらゆることと同様に、信頼しすぎも疑いすぎも良くない。