ゲームストップ株が、再び急騰しています。
ゲームストップ株をめぐるロビンフッダーVSヘッジファンドの戦いでヘッジファンドが敗北を喫し、さらに個人投資家の同銘柄取引禁止などで物議を醸してから約1ヵ月。2月18日には下院金融サービス委員会で、ロビンフッドの最高経営責任者(CEO)を始め、ゲームストップ株購入で個人投資家を団結させたオンライン掲示板レディット、メルビン・キャピタルやシタデルのCEOなどが公聴会に出席していましたが、それが遠い昔のように、再び個人投資家の売買が米株市場で存在感を増しつつあります。
その象徴こそ、運用会社ヴァン・エックが組成した上場投資信託「VanEck Vectors Social Sentiment ETF(BUZZ)」。取引初日の3月4日に2.8億ドルの資金流入を記録、初日ベースの流入額では12位と、上々の滑り出しだったと共に、その注目の高さが伺えます。
BUZZが連動する指数は、Buzz NextGen AI U.S. Sentiment Leaders Index。この指数は75銘柄で構成され、条件は主に①時価総額が50億ドル以上、②ツイッターを始めレディットのフォーラムで、AIがポジティブ且つ強気な投稿を集めたと判断した銘柄--と2つとなります。
ただ問題があり、1月に急騰したゲームストップを始めAMC、ブラックベリーなどは、「①の時価総額が50億ドル以上」の条件を満たしていないのですよ。1月に大幅高を記録した銘柄では、唯一ノキアだけが加わっており、そうなると予想以上の高リターンを得る投資妙味が薄れてしまうんですよね。
構成銘柄の入れ替えが月1回というのも無理はないとはいえ、気掛かり。「春に三日の晴れなし」、「分からぬは夏の日和と人心」ではありませんが、個人投資家の熱が急激に冷めてしまった場合、急落局面に陥り指数の足を引っ張られかねません。
今のところBUZZのデビュー以降のリターンは3.1%高と、グロース株からバリュー株への乗り換えを背景に好調なダウの5.5%高を下回る状況(3月10日時点)。構成銘柄をみるとツイッターやらテスラ、フォード、ディズニー、モルガン・スタンレー、ブラックロックなどとS&P500とそう変わらないためとはいえ、リターンと同様にBUZZという名前負けしている感は否めません。ただ、時期がくればダウを上回るリターンを達成できる余地もあり、真価を発揮するのはこれからかも?
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年3月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。