女性タレント容姿侮辱問題は、秘匿義務違反の悪質な禁じ手?

多田 芳昭

東京オリンピック開会式などの演出の統括役、佐々木氏が辞任に追い込まれた。

Ryosei Watanabe/iStock

最初は、文春オンラインから『女性タレントの容姿を侮辱するような構想』『豚を意味するピッグを五輪とかけて女性タレントが扮するアイデア』と発信したとの事だった。ここだけ、摘み取れば一発アウト、弁明の余地もなく、現状認識も出来ない不適切な行為と非難されるべきだ。

しかし、徐々に全容が見えてくると、逆に違和感を感じざるを得なかった。

その後、彼女のコメントが発表され、非常に練られた発信が為された。

その内容は、『見た目を揶揄されることも重々理解した上でお仕事をさせていただいている』『今まで通り、太っている事だけにこだわらず渡辺直美を表現していきたい』『それぞれの個性や考え方を尊重し認め合える・・・』などだ。

この案は、1年前の案出しの段階でメンバーからの非難を浴び、即却下され、不適切だとの認識を持ち、メンバーに対して謝罪までされている。ある意味、内部情報の没情報である。この種の内部情報は極秘扱いのはずだ。間違いなく、秘匿義務を負った人間が情報漏洩したことになる。こちらの方も本質的には大問題なのだ。

この秘匿義務違反を犯してまで情報流出させるのは、明確な意図があると考えるのが普通だ。あくまで個人的な想像ではあるが、佐々木氏潰し、もしくは、五輪潰し、その両方の場合もあるだろうと感じるのだ。これは悪質な禁じ手であろう。

渡辺直美さんのコメント『それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しくて豊かな世界になれる事を心より願っております。』が魂の叫びではないだろうか。筆者自身も、その様な世界を切望して止まない。