ついにここまできてしまった、という残念なお知らせです。
関係各位の調整などもあり公表を控えておりましたが、事態が深刻なものになってきたこととあわせ、このような現象は全国の「会派制による弊害」を抱えている地方議会でもおきがちな一類型であろうと思い、記事にすることにしました。
本題に入る前に、簡単な状況説明と「この状況にいたるまでに発生したこと」を、順を追ってお話しします。
無会派議員に対する「度重なる要請」
現在、佐倉市の議員数は28名です。そのうち、私を含む3名が、どの会派にも属していないいわゆる「無会派議員」です。
無会派議員は、議会運営を決定する委員会や、議会での最重要の検討事項である予算・決算委員会に参加できないなど、様々な不利益があります。
その制度そのものにも大いに問題があると考えておりますが、本筋から外れますのでとりあえず置きます。
このように、会派所属議員とくらべると、活動範囲に大きな制約を受ける立場にある無会派議員は、「議会の決定権を持つ」会派所属議員たちの胸三寸で、ある意味いつでも「さらなる権利制限」をされる立場にあります。議会とは、最終的な議決は多数決となるため、無会派議員が現時点で「かろうじてもっている権利」も、多数派が「No」といえば簡単に奪われてしまうためです。無会派議員が私一名であれば、自分の振る舞いから発生するトラブルも一身に引き受けることができますが、仮に私が多数会派に強く意見したことで他の無会派議員に不利益が生じた場合、謝ってすむ問題ではありません。
そんなわけで、議会多数派の「要請」には、大勢に影響がなければ極力協力することが、無会派議員の権利を確保する現実的な処世術、という側面が、地方議会にはあります。
さて、私は議会での一般質問や討論などの際、会派所属議員が「●●会のさくら太郎です。」という具合に、会派名を名乗っている個所を「無会派の髙橋とみおです。」と言っていました。その理由は、「髙橋って、どの会派に属しているんだっけ?」という疑問を、市民に抱かせないためです。要は、議会の本義である「市民への分かりやすさ」を念頭に置いた行為でした。この振る舞いに、一回目の「要請」がありました。
要請の内容は「無会派の」と言わないように、というものです。
その理由は、「無会派とは蔑称であるから」であり、過去佐倉市議会の議員がその文脈で「無会派と呼ぶな」と発言したことがある、という経緯もあるとのことでした。
私としては、「無会派」という言葉が差別用語などという定義は聞いたことがありませんし、事実その当時の佐倉市議会の公式サイトでも、議員一覧ページにおける私の所属会派の欄には「無会派」と書かれていました。さらに言えば、およそどの地方議会の公式サイトでも、会派に所属していない議員を「無会派」とカテゴライズして表記しています。とはいえ、先に述べたような判断から了解し、「無会派」を「会派に所属していない議員」と言い換えることにし、そのように実施してきました。
しかし、「会派に所属していない議員」という発言についても、議長から「やめてくれ」という「要請」がありました。
さすがに、それは「市民にとってわかりにくい」という理由でいったんはお断りしました。そもそも、その要請の理由もはっきりしないもので、とうてい納得できません。しかし、このときの議長は「なんとかお願いします」という姿勢であり、私は議長の背後にある「より強い圧力」の存在を感じました。その意味で、私が強硬な態度に出た場合、板挟みとなった議長の議会運営にも支障をきたす可能性があることとあわせ、「私が無会派であることは、言論の場で市民に伝えていけばよいか」と思い、ギリギリの判断でその要求も受け入れることにしました。しかし今考えてみると、①市民へのわかりやすさが減衰し、②言ってはいけない説得的な理由もなく、③そもそも議員の議場での発言権は誰にも侵害することができない、という点から、受け入れるべきではありませんでした。
次に、私が登壇時にとっている姿勢についても、佐倉市議会の最大会派であるさくら会幹事長から「要請」がありました。どんな要請を受けたかというと、議場で写真のような姿勢をとらないように、というものでした。
皆さまも国会中継で見慣れている、「演台の淵に手を置く姿勢」です。写真を見るまでもなく、党派の別なく「だれもがやっている姿勢」です。
では、なぜこの姿勢を「とってはいけないか?」というと、「圧迫感があるから」だそうです。あまりにわけがわからないという意味において、もはやすがすがしいくらいでした。
奇抜な姿勢であれば別ですが、議場の演台でとる姿勢について他の議員にとやかくいわれる筋合いは一切ありません。しかし、議場でとりうる姿勢はいくらでもあるし、実質的な意味で佐倉市議会の決定の中心的人物でもあると考える「さくら会幹事長」からの要請を断った場合、私以外の無会派議員にも迷惑がかかる恐れがあります。
以上のような判断から、議場でとる姿勢についても、さくら会幹事長からの「要請」を受け入れました。
このような流れの中、今回の「質問原稿を作成した議員の名前を言わないように」という、市民の分かりやすさ完全度外視の「要請」があったため、ここに公表する次第となりました。