「請願・陳情」と市民参加:その運用と佐倉市議会

今回は、地方議会における請願・陳情という、ちょっと耳慣れない件に関する記事です。

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県や市といった地方公共団体の議会は、住民の要望や意見を行政に反映させるために、請願・陳情と呼ばれる制度をもっています。

この制度を簡単に言えば、「●●市さん、こういう点を、こういう風に改善してください」と市民が要望・意見表明する行為で、その「要望・意見表明」の提出先が、当該地方公共団体に設置されている議会、というわけです。「請願・陳情は直接市役所へ」ではなくて、議会が窓口になっている点は、意外に知られていません。

請願については、憲法16条で定められた「強固な権利」です。通常、請願を提出する場合は紹介議員が必要で、陳情は不要という運用がなされていますが、その扱いは地方自治体ごとにまちまちです。

この請願・陳情については、市民の代表である議員が多数決で採択するかどうかを決めます。審議する議員は、請願・陳情の内容を確認し、背景となる法令や条例に照らしたうえで、その重要性、世論、市の財政状況、自分の政治的立場などを複合的に考え賛否を決します。

請願・陳情の具体的事例

例えば、私の地元佐倉市では昨年の12月議会に、市民の方から「議会の委員会などの会議体を動画公開してほしい」とする請願が提出されました。

請願第10号 常任委員会等のインターネットによるライブ中継及び録画中継の配信を求める請願書

過去何度となく「委員会などの動画公開が必要」と訴えてきた私も、10名の紹介議員の一人として名を連ねました。

拙稿:市議会議員の本気の討議「各種委員会」の動画公開が急がれる、という話

この請願は、佐倉市議会では残念ながら否決されてしまいました。

本件、悔しいので詳述すると、佐倉市議会では過去3回同じような趣旨の陳情が市民の方から提出されていますが、そのすべてを否決し続けています。あろうことか、3回目の2016年には「ネット中継を進めるため、せめて調査研究に着手してほしい」という陳情すら、佐倉市議会は否決しています。

平成28年8月 佐倉市議会 議会運営委員会議事録

上記リンクは、2016年当時、本請願を審議した議会運営委員会の議事録です。「調査研究すら必要なし」とする議員の発言を読んでも、私には何を言っているのかさっぱりわかりません。「ルールを作るのが先だから研究しない」という理屈のようですが、研究をしないでどうやってルールを作るつもりなのでしょうか?ちなみに、この陳情があってからすでに5年が経過していますが、動画公開に関するルールの議論は議会では一切進んでいません。

上の議事録をお読みになった方は、そういう内容的なところとは別に、「おや?」と思われた方が多いのではないかと思います。

請願提出者である市民が一切登場しないのです。

佐倉市議会では、請願者にしても陳情者にしても、議会で設置された委員会や本会議では一切発言はできません(運営の詳細については、明日の論考に譲ります)。

なお、先に説明した委員会での審議を経て、佐倉市議会がこの陳情を否決した本会議の結果がこちらです。「不採択」とあるだけで、否決側にまわった議員の名前は書かれていません。

平成28年8月定例会議会運営委員会-09月16日-01号

そこで、当時の議会だよりの賛否表を公開します。2016年当時の議決事項ですが、現役議員もたくさんいます。

今回は、この動画公開の是非に関する論考ではありませんのでここまでとしますが、一口に陳情・請願といっても、佐倉市議会のように「市民に一切発言させない」運用をしている地方議会もあれば、できる限り市民の意見を取り入れようと努力している議会もあるなど、運用は実に様々です。

次回は、佐倉市議会の運営をサンプルにした意見表明と、全国調査ご協力のお願いです。