松山英樹選手が念願のマスターズトーナメントに勝利した。2017年のブリジストン招待選手権以来ほぼ4年ぶりの勝利だ。感動したの一言に尽きる。日本人選手が世界を相手に戦って勝利するのは本当に励ましになる。
松山選手が2016年に優勝したフェニックスオープンは、シカゴでテレビにかじりついて観ていた。ファウラー選手が16番か17番ホールでグリーンオーバーして池にボールを落としたために、プレーオフとなり松山選手が競り勝ったと記憶している。シカゴにいた6年間、ゴルフや野球で日本人選手が活躍していると日本人として誇りを感じた。松山選手やヤンキースの田中投手の頑張りは私自身の励みとなった。
当時テキサスの球団にいたダルビッシュ選手がホワイトソックス戦でシカゴに来た際には、球場まで応援しに行ったこともある。上原投手のワールドシリーズ勝利の瞬間をサンフランシスコのホテルで見た時も感動した。そして、1980年代に留学していた時には、ゴルフの岡本綾子選手の活躍が嬉しかった。今のように情報が速やかに伝わる時代ではなかったので新聞のスポーツ欄で岡本選手の順位を眺めていたものだ。
今回、松山選手が15番ホールで池に落とした瞬間を見て、フェニックスオープンのファウラー選手のことが思い浮かび、気持ちがざわついた。しかし、16番ホールで追いかけていたシャウフレ選手が池に落としてトリプルボギーとしたために、勝利がほぼ確定した。シャウフレ選手は15番ホールで2打縮まって、逆転できる可能性が出てきたために16番ホールで力が入ったのだろう。アドレナリンの分泌が高まると予想外のことが起きるようだ。ゴルフはメンタルなスポーツだと再認識した。
さらに、キャディーの早藤さんが、18番ホールでピンをカップに戻した後に、コースに向かって頭を下げたことが話題になっている。柔道も剣道も、礼から始まり礼に終わる。相手に対する敬意、コース整備をしていただいた人に対する感謝がなせる礼であったと思う。この素朴な行為を日本人として誇りに思う。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2021年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。