泥船の自民党、沈没船の野党、景気回復は最後尾

「根堀り葉掘り聞くな」に絶句

自民党の泥船状態を示す材料が増えてきました。2019年の参院選における買収事件の原資になった政党交付金、迷走するコロナ対策、ワクチン接種を巡るドタバタ劇、議論を封じた東京五輪の開催強行などです。

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党内は混乱の度を増し、週刊文春(5/27)は「菅政権、壊れた/閣僚5人がNO」「首相批判が噴き出す」「できっこないことばかり」「対策がブレブレで酷い」と、政権の裏事情を伝えています。

泥船状態の自民党が沈没するかというと、そうではありません。野党のほうが沈没船です。週刊誌情報に頼って、政権の失点ばかり追及し、日本沈没の危機もというのに、基本の政策論争を仕掛けられません。

ですから、菅政権に対する支持率は30%台に低下したとはいえ、政権交代に追い込まれるという危機感は皆無です。泥船と沈没船という政治の無残な姿です。その結果か、景気回復では先進国としては最後尾です。

二階自民党幹事長の会見で、林幹雄幹事長代理が割って入り、報道陣に「幹事長もいろいろ発言しているのだから、根掘り葉掘り、党の内部のことに踏み込まないでもらいたい」と。酷い発言です。

「根掘り葉掘り」はジャーナリズムの原点です。身内の会合での発言ならともかく、報道陣に対する「根掘り葉掘り聞くな」は、与党の政治意識のレベルの低下を示す。以前はこんな発言は聞かなかった。

同時に、永田町(日本政界)を取材する政治ジャーナリズムがこの程度にあしらわれているのか思うと、愕然とします。

2019年参院選の買収事件で有罪が確定した河井案里氏に、自民党本部が1億円5千万円もの資金を供与していました。買収の原資になったこの1.5億円を誰が決裁したか。そのことを党内で追及する動きもないに等しい。

当時の安倍首相、二階幹事長らが中心人物で、当時の菅官房長官も事情を知らなかったはずはないという見立てを否定できません。それほどの重大事件なのに、二階氏は「私は関与していない」と、とぼけます。

当時の担当者として名指しされた甘利選対委員長は「1ミリも、1ミクロンも関わっていない」と、言います。菅首相は「検察に押収されている関係書類が返還されてから、監査する」と、無表情です。

「1.5億円のうち1.2億円は税金が原資の政党交付金があてられた」ことを公判で検察が明らかにしています(19/7月)。それにもかかわらず、自民党が独自に調査、総括する動きを見せませんでした。

税金の不正使用ですから、会計検査院も調査する必要があるのに、その気配はありません。民間なら大事件になっています。

検察が押収した書類がなくても、内部調査はできる。通常の企業ならば、外部の弁護士、公認会計士、検察OBを入れた第三者委員会を設け、調査を開始する。政界は一般常識が欠けた特殊社会です。

一方、ワクチンの大規模接種(東京、大阪)が自衛隊の運営で24日から実施されます。ワクチン接種の遅れを取り戻そうと、突貫工事で決めたプロジェクトクトですから、予約システムに欠陥がありました。

架空の番号でも予約できることを取材、報道した新聞を岸防衛相がツイッターで、抗議しました。実際には、自治体から配布された接種券を持参、本人確認もしますから、大きな実害は生じない。

トランプ前大統領のマネを日本の防衛相がする。国防問題の扱いでは慎重、冷静に対処する習性が必要です。ワクチン予約システムに絡んでツイッターでメディアを警告とは、何か勘違いしています。

二重予約などの恐れはあるにせよ、防衛相が抗議するほどの問題でもない。「防衛省は改修を検討する」そうですから、自ら不備を承知している。サイバー攻撃を防ぐ砦になるべき防衛省が欠陥システムを用意し、批判されたことに居直る。そのことのほうが深刻な問題です。

東京五輪についていえば、「選手は1.5万人のほか、大会関係者、メディアを含めると、6.9万人が来日する」(読売、5/20)そうです。20万人の見込みが半数以下になりました。

当初の参加予定は200か国以上でした。それが何か国になるのか、IOCもJOCも明らかにしていません。参加国数が大幅に減っても、五輪開催を強行する意味はどこにあるのでしょうか。

「5輪」というのは「5大陸」の意味です。まさかどこかの大陸が欠けて「4輪」「3輪」になったら笑い話です。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2021年5月20 日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。