来年トランプが大統領に復帰する!?

トランプ前大統領が来年にも大統領に復帰するかも知れない秘策があった。トランプの熱狂的な支持者でラジオトークショーの司会者であるウェイン・アリン・ルートの番組インタビューで、スティーブ・バノンが考えたアイデアに水を向けられたトランプは、「興味深いですね!」と答えた。

ホワイトハウス公式サイトより:編集部

そのアイデアとは、トランプが22年の中間選挙に立候補して下院議長を目指すというもの。ルートはトランプが本拠地にしたフロリダ州で選挙活動ができると言い、トランプは「皆さんは上院に立候補するよう言っているでしょう? でもそのアイデアの方が良いかもしれないね」と述べた。

これらの会話をする側も、また聞く側も、米国の大統領が欠けた場合の継承順位が、先ずは副大統領で次が下院議長であることを念頭に置いている。ルートは「貴兄が下院の議長になって、バイデンの弾劾を主導してください」と言い、「それはとても面白い」とトランプは笑いながら応じた。

さらにルートは「そして、貴兄は大統領になります」と結論付け、「やれ!貴兄は保守派のフォークヒーロー(*民間に伝承される英雄)になるでしょう!」とトランプを持ち上げた。ペロシ下院議長(民主党)に、大統領在任中2度も弾劾裁判の目に遭わされたトランプとしては、甚だ興味をそそられる考えであったに違いない。

「バイデンの弾劾」や「大統領になる」など表現は、ハンター・バイデンのラップトップの一件をスクープしたタブロイド紙「New York Post」(NYP)の記事にはあるが、政治メディア「Hill」は24年の大統領選でトランプが有力な候補であることを書くに止まり、保守系の「Newsmax」もHillの引用記事だった。

「NYP」は、バイデンを弾劾できたとしても、ハリス副大統領の解任が障害となることにも触れている。が、冤罪でトランプを弾劾裁判にかけた民主党や左派メディアの顰(ひそみ)に共和党や右派メディアが倣うなら、いつで薄笑いしている印象のあるこの黒人女性初の副大統領を解任することも不可能とは言えなかろう。

ルートの話は熱狂的な保守層のトランプ人気を裏付けるが、彼はMy Pillowの創業者マイク・リンデルと共に知られた存在だ。ルートの経歴を見ると10年から20年まで「Newsmax」、そしてWikipedia英語版に「極右フェイクニュースサイト」と紹介される「Gateway Pundit」(GP)とも17年から現在まで関係しているようだ。

ルートもリンデルも、そして「GP」を創業したジム・ホフトも、みな揃って昨年2月からTwitterにアカントを永久「ban」されている。その後、リンデルが「Frank」なるプラットホームを立ち上げたことは良く知られる。今や保守層にはビッグテックの「ban」がまるで名誉勲章であるようだ。

「GP」はアリゾナ州マリコパ郡の共和党上院が決議して、「サイバーニンジャ」などの民間会社に委託して今も進行中の、大統領選票のフォレンジック(犯罪学)監査を逐一報じている唯一のメディアだ。この結果によっても大統領が替わる訳ではないが、共和党の州で行われている選挙制度改革に影響を与えるだろう。筆者は6月末まで延長された監査の推移を興味深く追っている。

ビッグテックの「ban」といえば、Facebookは4日、トランプのアカウントを更に23年1月まで停止すると発表した。まるまる2年間の停止になるが、24年の大統領選では使えることになる。もしその必要があれば、の話だが。

それにしてもFacebookといいTwitterといい、横暴ぶりは共産中国顔負けだ。が、トランプはルートに「私が今度ホワイトハウスに行ったら、ザッカーバーグ夫妻とのディナーはもうない。それは彼のリクエストだ。すべてビジネスだ!」と言った。因みに、このくだりは「Hill」と「Newsmax」にはあるが「NYP」にはない。