何かと話題の西村大臣が「東京は緊急事態だ」とツイートしている。
東京、首都圏の感染者数が増加。病床は確保も、陽性率上昇、高齢者の重症化は抑えられてきているが、入院は50代以下が全体の4分の3、30代以下が3分の1と現役世代が急増。危機感を強めている。時短、酒類提供停止、テレワーク等対策徹底が必要。黒岩知事と意見交換し危機感共有。連携して取り組む。 pic.twitter.com/86HcStqGv2
— 西村やすとし #不要不急の外出自粛 NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) July 16, 2021
ここで彼が引用している東京都の新型コロナモニタリング会議の資料の全体を見てみよう。
まず彼のいう「検査陽性率」は、サンプルの取り方で上がったり下がったりするので、ほとんど意味がない。「入院患者数」は陽性者数の増加関数なので、増えるのは当たり前だ。「重症患者数」は、図のように頭打ちになり、累計で54人である。
おかしいのは西村氏の「入院は50代以下が全体の4分の3、30代以下が3分の1と現役世代が急増。危機感を強めている」という話だ。50代以下の比率が上がっている原因は、60歳以上の陽性者数の比率が(ワクチン接種で)下がっているからだ。
高齢者から始まったワクチン接種は明らかに成果を上げており、ハイリスクの高齢者の感染が減ったため、今までの流行に比べて重症患者が減っている。これから50代以下にも接種が進めば、陽性者数と重症者数の減少が見込める。死者は毎日0〜4人というレベルである。今後増える可能性はあるが、重症者数の推移からみると、1月の半分以下だろう。
人口1400万人の東京で、なぜ重症患者54人、死者4人で緊急事態になるのか。これは国民の行動や飲食店の営業を制限するような問題ではなく、医療体制がお粗末なだけではないのか。
西村氏が立場上、危機感をあおらないといけない状況はわかる。オリンピックを前にして、少しでも陽性者数を減らしたいという気持ちもわかるが、自分の政治的地位を守るために国民を不安に陥れるのはやめていただきたい。