日本の子育てが恵まれている件について:『みにろま君とサバイバル』

めいろまさんこと谷本真由美さんは、「日本人の働き方の9割がヤバい件について」といった著作からもわかるように、日本の働き方などの後進性をみごとに指摘されてきました。

けれども、「みにろま君とサバイバル 世界の子どもと教育の実態を日本人は何も知らない 」でも語られているように、日本人があたりまえのように享受している恩恵はとても特別なものだと指摘しています。

きちんとした行政事務、学校の暴力事件の少なさ、子供の医療、治安のよさなど、海外にくらべて日本での子供の育てがいかにしやすいかと気づいたそうです。

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進歩的な人有識者は、「日本の子育ては大変で、日本政府は支援が薄く、日本は子育て世代に大変冷たい国だ」と日本の子育て支援の後進性を嘆いていますが、じっさいにイギリスで子育てをしていると、日本の細かいよいところが目につくようになるそうです。

そういうわけで、私は子供を持ってから、Twitterでの発言が180度変わったので、中身の穂とが入れ替わったんじゃないかと言われることが多いのです。(P26)

そして、現在の北米やイギリスの子供たちは、礼儀を無視するのが当たり前になってしまっているそうです。公共の場でも大騒ぎをするので、他の先進国の人々は日本にやってきて、子供たちがあまりに静かで礼儀正しいことに驚きます。また、子供にたいする人権意識も低く、ホームレスや薬物中毒になる若者も少なからずいます。

それだからこそ、日本の学校や親御さんの教育を残念に思うことがあるそうです。世の中の仕組みとお金の現実膠着した親の職業観の是非海外における日本の学歴価値など、日本の教育に抜けている点を、理由を添えて説明してくれています。

じぶんたちがいかに恵まれているかをわからないまま失い、またなにが足りていないかわからないので子育てが迷走する。

先進国の人間は、そうそう多くの子供を育てる機会はありません。ふつうの人間はどんなことでもはじめてのことはあまりうまくいきません。賢い子育てという意味で、めいろまさんの知見や経験を参考になります。

日英の子育て観のちがいだけでなく、バイリンガル教育の注意点、基礎学力の大切さ、国際人になる心構えなど、勉強に関しての知見もとても参考になります。また、「自己肯定感を磨け」「人生は戦闘という前提」「謙遜は弱いことの証」のような日本の教育ではあまり重視されていないポイントは、子育てのなかで意識したいものです。

みにろま君とはめいろまさんの息子さんのニックネームです。

のみにろま君への手紙という体裁になっている「終わりに」は文体こそちょっと乱暴ですが、その愛情にほろっとします。