日本の株価はなぜ踊る?

株式市場とは薄情なものです。菅総理が9月3日に総裁選に出馬しないと発表してから株価はうなぎのぼり。発表前日9月2日の終値が28543円、それが9月14日終値はバブル崩壊後の高値となる30670円をつけます。2週間足らずの上昇幅は2127円で率にして7.5%になります。株価は厳密には8月20日に27000円を切ったところが底でした。その点からは菅総理総裁選不出馬が今回の踊る株価の全てを説明しているわけではありませんが菅氏の不出馬宣言が強く後押ししたことは事実です。

先週、この項で北米の株価が停滞気味になっているが、世界の金余り現象は続くため、そのマネーが行き所を探しており、欧州と日本はその対象と申し上げました。今のところそうなっていますが、日本の株価の上昇は続くのか、考えてみたいと思います。

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まず、確実に言えることは北米の株価が冴えないという点です。ダウは8月16日に35625ドルをつけた後、チャート的には下落基調を辿り、現在は34500ドル台と1000ドル以上、2.9%下げています。他も下げ幅はばらつきがありますが、バイアスは似た状況にあります。今まで北米の株価が世界をリードしていたことを考えれば明らかに様相が変化しています。

私が北米市場と日々対面している感覚でいえば「とても買える時期ではなく」「利が乗った銘柄の処分が続く」展開です。なぜ、買える時期ではないかといえば株価が上がる材料がないのです。非常にテクニカルな理由で着目される業種や銘柄はあります。アークインベストメントのキャシーウッド氏の発言ぐらいで中国株やテスラの株価が動くのを見るにつけわずかなことでも振幅が大きくなる「ビビり相場」とみています。

昨日もウォールマートが暗号資産で決済できるようになるというウソの情報が流れ、暗号資産が一瞬にして2割以上の大幅高になるものの同社が「その事実はない」と即座に打ち消した瞬間その上昇分はそっくり跳ね返りました。その間30分とか1時間の話です。失敗したロケット発射のようなものですが、それぐらい北米の足場は悪いということです。

では日本の株価はなぜ、上がるのでしょうか?

一つには政界の変化期待、もう一つは自民党の安定化への期待だとみています。世論調査でも菅氏の不出馬発表以降、自民党支持が大幅に上昇し、立民などはむしろ下げています。ここにきて主要議員の河野氏擁立が目立ち、私の感覚では絞り込まれてきたとみています。河野氏は改革派ですが、私は小泉元首相の「自民党をぶっ壊す」以上に改革を進めると思います。それは制度ではなく議員のあり方になるでしょう。

これが何を意味するか、といえば議員の大幅な世代交代だとみています。私は2020年代は大きく変貌する10年と再三述べてきました。ただ、人や組織はなかなか変われません。特に日本は伝統や習慣、前例主義など変わらないことを美徳するぐらいの独自性があります。

ですが、今やバブル経済が何だったか知らない人が主流なのです。スマホで卒論を書く時代なのです。戦争の話も右翼も左翼も知らなくても普通に楽しい日々が過ごせるのです。非正規労働サイテー!、と言いながらもその枠組みで生活する人が当たり前にいてそれなりに幸せを感じているのです。今、100万円あったらどうしますか、と言われて多くの人は「貯金します」というのは物欲が満たされていて小さいながらも安定的な幸福感を持っているということなのです。

つまり、今の日本は戦中、戦後の本当に苦しかった時代を生き抜いた世代から90年代以降に育った世代にバトンタッチをするところだとも言えます。なぜ、日本は欧米に比べて遅れたか、といえば移民政策がなかったからです。そのために年齢層のアンバランス化が生じ、増える高齢者の声が重視される時代がずっと続いたことはあるでしょう。

ですが、政治に関して言えばようやくそのバトンタッチが行われる可能性が出てきた、これが株価をはやす理由だとしたらどうでしょうか?ぶっちゃけ、「陽が再び昇る国」ということです。

日本が元気になるには40代、50代が中心の指導体制を形成すべきと思います。だからと言って高齢者がないがしろにされるわけではありません。ただ、儒教の教えである上下の秩序はこの30年ぐらいで
少しずつ、実力主義に代わってきています。自分の部下が年上でビビった話は昔なら当たり前。私でもそうでした。「やりにくいなぁ」と。でも今、多くの都道府県や市町村の長は若手が増えてきました。

日本の株価がどこまで上がるか、目先はテクニカルで超不安定ですが年単位の長期でみれば私は4万円が視野に入ると期待しています。つまり、今より3割高。それはバブルの最高値38915円がブーマー達の到達であったとすれば70年代生まれの世代が作る壮大で新たな時代の幕開けと夢膨らませたいといきたいところです。

若手を信じてみませんか?株価も踊ると思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年9月15日の記事より転載させていただきました。