立憲民主党の「所得税ゼロ」より、もっと良い方法を建設的に考える→社会保険料の免除だ!
こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
先日27日、財政出動には保守的だった(むしろ民主党時代に消費税の増税を主導した)立憲民主党が消費税の減税を公式に発表したばかりか、突如として「所得税ゼロ」という公約を掲げたことが話題となっています。
5番目の富裕層や大企業への課税強化など、もう共産党と経済政策の区別がつかなくなってしまいましたが…。
今日はこの1番目の「年収1,000万程度以下の所得税免除」について考えてみたいと思います。
また選挙前の思いつきだ、実現不可能な公約を抱えた民主党政権時代と同じじゃないかと総ツッコミが入っており、私もそう思いますが(ボソッ)、国民に還元する方向の政策が出てきたことは一歩前進ではあります。
ただこれもすでに多くの指摘があるように、所得税というのは累進課税なので「一千万以下」で免除するとしたら、年収900万の人と低所得の人では受けられる恩恵にものすごく差が出てしまうんですよね。
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じゃあどうすればよいのだということで、批判ばかりではなく同じ方向性で対案を考えてみたいと思います。
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配り直すより徴収しない・免除する方が行政コストが安いという発想は極めて正しいのですが、同じ免除するのであれば所得税ではなく、社会保険料を免除(免除した分は税投入で補填)した方が遥かに合理的・効果的です。
なので、こちらを免除することはまさに、助けたい所得層の負担を減らす特効薬と言えます。
税金と違って上がる時も大きな議論にならず、知らないうちにしれっと上がっていく上に給料から天引きされ、「現役世代キラー」となっているのが社会保険料です。
この社会保険料を一定程度(1年もしくは数ヶ月)減免するのと、社会保険料の申請免除者には現金給付を併せて行えば、かなり広範囲で所得が減った現役世代・困窮者をサポートできる&経済活性化に寄与することが見込まれます。
所得税ゼロだと、昨年からのコロナ禍で所得が激減している人は恩恵が少なくなるという矛盾が生じてしまいますが、社会保険料であればそれも回避可能。
社会保険料の免除の期間・範囲によっては所得税ゼロより財源が必要となるものの(試算中)、昨今の需給ギャップを考えれば国債発行・予備費でカバーできる範囲になりそうです。
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「立憲民主党が公約したのは、所得額ではなく年収だ!」という指摘がありましたが、「年収」で計算・比較してもおおまかな傾向は変わらず、むしろ控除などを勘案すると差が開きそうです。こちらも試算が出たら示す予定。
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「立憲民主党の公約にも『低所得者には現金給付』と書いてある!格差拡大という批判は的外れだ!」というご意見もありました。低所得の定義や給付金額がわからないのでなんとも言えませんけど、年収250万と900万の人の格差・負担率を埋めるくらいの現金給付をするのは現実的ではないと思います。
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維新は「緊急提言」の中で初期から、そして最新の第9弾提言でも、この社会保険料の減免を主張してきました。
与野党ともに現金給付(公明)や所得税ゼロ(立憲)の選挙公約を出してきた今、改めて制度設計を詰めて衆院選前にお示しをしたいと考えています。
整理すべき論点・制度設計は厚生年金も免除対象とするのか(免除は国民年金保険料に絞るか)、企業折半分はどうするのか、所得制限を設けるかどうか…などでしょうか。
税金ばかりに焦点が当たるものの、現役世代に負荷が大きい社会保険料も極めて重要な論点の一つです。
効果的な財政出動を立案し、しっかりと政府与党に提言をしてまいりたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2021年9月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。