コロナ禍の飲食「焼肉店は安全」を検証してみた

高橋 大樹

緊急事態宣言が9月30日をもって全国で解除され、東京や大阪などでは酒類の提供が条件付きで解禁されましたが、各飲食店はそれぞれ独自の対策を講じて引き続き感染予防に努めています。

FineGraphics/写真AC

感染症学の専門家によると、新型コロナの感染経路は、口と鼻からの飛沫感染と、それよりも粒子の小さな(ウイルスを包みこむ水分量が少ない)エアロゾル感染、またさらに粒子が小さく長時間浮遊する空気感染が主体であることから、対策としては換気がもっとも重要であるといわれています。

一方、コロナ禍で外食自粛が続き、多くの飲食店が苦境に立たされるなか、比較的健闘している業態として、焼肉店が早くから注目されてきました。

国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長によると、「焼肉店は客の前に強力な換気装置があり、煙と一緒に周囲の空気を瞬時に吸い込んでくれるので、グリルを囲んだ対面の会食でも安全」だというのです(東洋経済オンライン『コロナ禍の飲食「ラーメン店」「焼肉屋」が安全な訳』参照)。

そこで、大阪の京橋本店南森町店の全テーブルに無煙ロースターを完備している私たち焼肉「京松蘭」では、飲酒をともなう会食においても、焼肉店の換気が新型コロナウイルスによる感染の防止に効果的であるかを明らかにするため、某大学の病原微生物学と免疫学が専門の教授(京都大学 農学博士、京松蘭研究室 最高顧問)の指導のもと、次のような実験を行いました。

  • 図1に示すように、縦80cm×横160cmのテーブルを5名の社員(A、B、C、D、E氏)が囲み、各社員の50cm正面前方に細菌栽培用培地(ブレイン・ハートインヒュージョン寒天培地)シャーレを置き、それぞれA、B、C、D、Eシャーレとした。

図1

  • 新型コロナウイルスに代えて、飛沫・エアロゾル中の一般細菌を検査対象とした。
  • まず、実験1として、エアコンのみを作動させ、換気なしの室温27℃の環境下で1時間、アルコールと自由な会話をともなう、ごく一般的な食事会を行った。
  • 1時間後にシャーレにふたをし、A~Eの培地上に落下した細菌を27±1℃の室温で48時間(2日間)培養したのち、培地上に発育した細菌(コロニー)の数を計数した。
  • 実験2としては、実験1と同じ条件に無煙ロースターを作動させる条件を加えてアルコールと自由な会話をともなう焼肉会食を行った。その後、実験1と同様の方法によってA~Eの培地上の細菌(コロニー)の数を調べた。

上記の実験1(無換気)と実験2(無煙ロースターによる換気)におけるA~E培地上に発育した細菌(コロニー)数を表1に、また発育状況を写真1、2に示しました。

表1 無換気と換気下における会食中の落下細菌数

写真1 無換気下の会食中に落下した細菌の発育状況

写真2 無煙ロースターによる換気下の会食中に落下した細菌の発育状況

実験1および2の結果から、①換気なしの一般的な会食においては、数多くの細菌が飛沫として拡散していることが明らかになりました。

②実験1において、大声で会話をしていたA、B、E氏の正面のシャーレ中の細菌数が著しく多く、会話が少なかったCおよびD氏の細菌数が少なかったことから、無換気下での大声による会話は控えた方が良いと考えられます。

おそらく、A、B、E氏が拡散させた飛沫は、培地上に落下するだけでなく、エアロゾルとして、会食者の鼻腔周辺などの上方を漂っていたものと思われます。

③煙と周囲の空気を下から瞬時に吸い込み店外に排気する無煙ロースターは、アルコールと自由な会話をともなう会食においても、細菌の飛沫としての拡散を著しく抑制することができました。

④今回の実験で検出された細菌のほとんどは口腔内細菌であり、新型コロナウイルスの10~20倍の大きさであることから、新型コロナウイルスについて、今回と同様の実験を行ったとしてもまったく同じ結果が得られるとは限りませんが、同様の傾向を示すものと思われます。

「焼肉店は安全」は本当だった!徹底した換気で安全・安心な会食を

今回の実験によって、無煙ロースターによる換気がシャーレに落下する細菌数を著しく減少させたことから、エアロゾルの滞留も効果的に防げたこと、また新型コロナウイルスによる感染を抑制するであろうことが示唆されました。

ここで重要なポイントは、「焼肉店」といった業態ではなく、「店内がしっかり換気されていること」にあると考えられます。

焼肉店以外のリスクが少ない安全な場所として、上記の西村ウイルスセンター長は、ラーメン店などの「湯気や…油やにおいが店内に充満しないよう、強力に換気をしている」店「換気扇を見て大きなものを使っている店」「ドアを開けておくような店」などを挙げています。

反対に、換気がしっかりされていなければ、アクリル板を置くことや正面を避けて斜めに座ることは「エアロゾルに対しては完全に誤差範囲」であり、何ら防御にならないということも指摘されはじめています。

私たち焼肉「京松蘭」では、常に無煙ロースターなどの換気システムを稼働させて店内換気を徹底するとともに、さまざまなコロナ対策の有効性について独自に検証も行いながら、安全・安心な体制をさらに強化していきたいと考えています。

いざGo To 京松蘭!