11月12日、厚労省のコロナワクチン副反応情報が更新されました。その後、複数のマスコミが、心筋炎の死亡例について初めて報道しました。東京新聞、NHK、日本経済新聞、福井新聞、日本テレビ、産経新聞、共同通信、などです。
報道内容を簡単にまとめてみます。
- 情報は、厚労省の専門部会の報告による。
- モデルナ製ワクチンの接種後に、4人の男性が心筋炎を発症し死亡した。20代が2人、40代が2人である。
- 心筋炎で死亡した事例は、モデルナ製では初めてである。
- ファイザー製でも、20代の死亡例が1例ある。
では、これらの報道が正しいのか検証してみます。データは、厚労省が公開している「一次情報」を使用します。
現在、心筋炎の死亡例を調べる資料としては、4つの一覧が公開されています。
これらの資料より、VBAを用いて、20代~40代の心筋炎死亡例を抽出して、表にまとめました。
まとめますと、
- 20代:4例(モデルナ3例、ファイザー1例)
- 30代:3例(モデルナ0例、ファイザー3例)
- 40代:7例(モデルナ4例、ファイザー3例)
全部で14例です。
ちなみに、今回の報道の前の10月22日公開された資料によりますと、
- 20代:2例(モデルナ1例、ファイザー1例)
- 30代:0例(モデルナ0例、ファイザー0例)
- 40代:5例(モデルナ2例、ファイザー3例)
全部で7例です。
比較してみますと、報道内容は、ほとんど事実に反していることが分かります。正しかったのは、ファイザー製の死亡例が1例の所のみです。
なぜマスコミは、事実に反する報道をしてしまったのか?
これは、マスコミが情報を厚労省の専門部会の報告に依存しているためです。厚労省が公開している「一次情報」である死亡症例一覧を、マスコミ自らでチェックしていれば、間違いに気付けたはずなのです。
報道においては、「一次情報を重視する」というのは鉄則のはずです。一次情報を確認せずに報道するのであれば、報道機関の使命を放棄していると非難されても仕方ありません。