ロシアのカントリーリスクを再評価し、経済安保の強化を急げ

こんばんは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

ロシアの軍事・安全保障政策の専門家として脚光を浴びている、小泉悠先生の「現代ロシアの軍事戦略」を読了。

軍事については土地勘がないのでなかなか簡単には読み進められない、歯ごたえのある内容でしたが、今後のロシアを巡る国際秩序の変化を見通し上で必読の書ではないでしょうか。

最終章では日本とロシアとの関係について述べられておりますが、ここに至るまでについては

「それら(経済政策)をリンクさせて領土問題を解決しようとした点に安倍政権の対露政策の根本的な齟齬があったというのが筆者の考えである」

「具体的に言えば、いわゆる『8項目の経済協力』によって領土問題に関するロシアの姿勢軟化を狙った戦略がそれであり、その結末は国後と択捉に対する領土変換供給を事実上放棄するという妥協の末に、ロシアからゼロ回答を突きつけられるというものに終わった」

とかなり手厳しい評価がなされ、今後については

「ウクライナ問題やロシアの権威主義体制に関して欧米と連携してより強い態度で臨むこと」
「要は『西側の一員』としての日本の立場を固め直すということだ」

と示唆しており、その彗眼は大いに参考にすべきと感じるところです。

専制国家・ロシアの蛮行は、戦場以外でも目に余るものになっています。

非友好国へのルーブルでの債権返済(事実上の踏み倒し)、撤収企業の資産接収に加えて、知的財産権まで蹂躙する方針を示し始めました。

知的財産は「相互主義」が原則なので、ロシア側の知的財産も使い放題にするという意趣返しもありえるようなのですが、さすがにそのポジションを日本が取るわけにもいかず、この分野でも日本および日本企業が不利益を被ることになります。

こうした専制国家でビジネスを営むカントリーリスクを、抜本的に見直していく必要があります。もちろん想定されるのは覇権国家・中国です。

経済安保についても、政府案はロシア侵略が発生する前に作られていたもの。維新はより強い内容を含む対案をぶつけ、政策論争に臨んでまいります。

それでは、また明日。

Sergei Dubrovskii/iStock


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年3月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。