フランス国籍を得たジョンソン首相の父の先祖はトルコ人

ジョンソン首相の父親スタンリー・ジョンソンがフランス国籍を取得したと報じられている。母親がフランス人だったからだが、政治的特例措置という側面もあり、この国籍は一代限りということになっている。したがって、ボリス・ジョンソンがフランス人になるわけではないようだ。ブレクジットに猛反対していた元欧州議会議員として欧州への愛着を表したらしい。

しかし、そもそも父祖をたどると、ジョンソンはトルコ人なのである。首相の曾祖父にあたるアリ・ケマル・ベグは、オスマン帝国の内務相だったが、1922年に暗殺された。

祖母でイギリス人とスイス人のハーフであるウィニフレッド・ブランは、イギリスで子を産んですぐに死んでしまい、また父はトルコに帰国したので、子のオスマン・ケマル(後のウィルフレッド・ジョンソン)は、祖母のマーガレット・ブランによって育てられた。ジョンソンは、この祖母の旧姓である。

スタンリーは、このウィルフレッド・ジョンソン(オスマン・ケマル)とアイリーン・ウィリアムズの子である。アイリーンの父はミュンヘン生まれのフーバート・フライフェル・フォン・プレフェルで母親はエレーヌ・アルム・リヴィエールというフランス人だ。アイリーンのフランス国籍はこの母親に起因するということだろうか。

フーバートの母、つまりボリスの高祖母は、英国王ジョージ2世の玄孫であるヴュルテンベルク王子パウルが女優でオペラ歌手だった愛人フリーデリケ・ヴォースとの間にもうけた庶出の娘だそうだ。

また、母方の曾祖父の古文書研究家のイライアス・ロウは、ユダヤ系リトアニア人(ロシア帝国時代)である。

ボリス・ジョンソンは、1964年に米国ニューヨーク市マンハッタンのアッパーイーストサイドで生まれた。父のスタンレー・ジョンソンは、コロンビア大学の学生で、最初の妻であるシャーロット・フォーセットは画家だった。

ボリス・ジョンソン英首相と岸田首相 首相官邸HPより

いったん、イギリスに戻り、オックスフォードやロンドン北部クラウチ・エンドに住んだのち、父親が世界銀行勤務することになったので、ワシントンに移住した。

英国帰国後は、イートン校、オックスフォード大学ベリオール・カレッジで学び、ラテン語と古代ギリシャ語を専門とした。

『デイリー・テレグラフ』のブリュッセル特派員となりヨーロッパ懐疑派のジャーナリストとして知られるようになり、政界に進出した。アメリカ生まれなので米国籍も持っていたが2016年に外相になるに際して離脱した。

フランスの新首相はユダヤ系ロシア人

フランスでは、ボルヌ新首相は、ユダヤ系ロシア移民の子である。元大統領では、サルコジは父がハンガリー人で母がユダヤ系ギリシャ人。元首相では、ベレゴボワがウクライナ人、バラデュールがアルメニア人、ヴァルスやパリ市長のイダルゴがスペイン人など国際色豊かだ。

ボルヌ新首相(左から2人目)Wikipediaより

日本では、不明である。盛んに誰それは半島系だとか大陸系だとか噂されるが、嘘とも本当とも明らかにされたことはない。だいたいは事実でなく、とくに、半島については、いわゆる創氏改名が始まった昭和14年以前だと、半島系の人が日本名を名乗るのは難しかったからだ。しかし、そんなことを秘密にしておく国は日本くらいだ。