リチウム開発国営化を図るメキシコ、産出国の国際機構創設を模索

メキシコのロペス・オブラドールは、リチウムのOPECに匹敵する機構の創設を望んでいる。

憲法を改正してリチウム開発を国営化

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領(アムロ)はメキシコが埋蔵するリチウムの開発を国営化する意向を表明している。その為に4月には憲法を改正した。リチウムの開発は国家に委ねるとしたものだというのが彼の考えだ。

そこで、リチウム開発公社リティオメックス(Litiomex)を早急に創設するというのが狙いだ。メキシコは国家戦略として、これから需要が高まるリチウムを国が独自に開発して行くことを望んでいるのだ。

アムロはラテンアメリカのリチウム産出国であるアルゼンチン、ボリビア、チリのそれぞれ大統領アルベルト・フェルナンデス、ルイス・アルセ、ガブリエル・ボリッチと既に接触も開始している。アムロの狙いはリチウム産出国がOPECのように結束して一つの機構を創設したいということである。それによって、リチウムの価格の決定権などを産出国が決めることができるようにしたいということである。

この機構を創設するのに一つ問題になるのは、チリでの開発は一般企業が実施し、ボリビアは国営、アルゼンチンは地方ごとに異なっているということである。即ち、開発の主導権が国によって異なるということだ。

何しろ、メキシコには2億4300万トンのリチウムが埋蔵されていることが2019年に明らかにされたからだ。その量は世界で最大規模である。(10月11日付「APニュース」から引用)。

開発権を外国企業に譲渡する意向なし

メキシコでは52万7000ヘクタールが開発の対象になっているが、アムロは彼の大統領政権下では開発権を外国企業に譲渡する意向の無いことを表明している。

これまで開発権については前任者二人の大統領フェリペ・カルデロン氏とエンリケ・ペーニャ・ニエト氏によって開発が認可されたものであるが、実際に採掘が実施されるのは2023年からだ。

この2人の大統領によって開発権が譲渡されているのは以下の企業である。カナダの企業オルガニマックス(Organimax)、英国のバカノラ・リチウム(Bacanora Lithium)とアリエン・メタルズ(Alien Metals)の2社、カナダからはワン・ワールド・リチウム(One World Lithium)とラディウス・ゴールド(Radius Gold)、ロック・テック・リチウム(Rock Tech Lithium)の3社、オーストラリアのインフィニティ・リチウム(Infinite Lithium)。

以上の外国企業に加え、メキシコからはリティオ・メックス(Litio Mex)が開発権を取得している。

今後、これらの民間企業がアムロの開発国営化に向かう中でどのように調整して行くか微妙なところである。