参院選全国比例区でトップ当選した赤松氏(「解禁9年で比例区トップ当選者を出したネット選挙」参照)は、基本政策として以下の5つを掲げる。
- 表現の自由を守る
- 日本の「文化GDP」倍増化計画
- UGC活性化戦略 「好き」を伸ばして生かせる世界に
- 国家デジタル補完計画 日本の未来に集中投資
- 子ども・若者の不安の解消
表現の自由は「守る」から「闘って勝ち取る」時代に
赤松氏を推薦した山田氏は、2010年に参院選に立候補して以来、表現の自由を守ることを公約のひとつとして掲げ、その活動記録として、2016年に『「表現の自由」の守り方』、2022年には『「表現の自由」の闘い方』を出版した。
下図のような問題と闘ってきた舞台裏をつぶさに紹介した『「表現の自由」の闘い方』には、赤松氏との巻末対談も収録されている。
巻末対談での「以前に比べて、表現規制をめぐる問題が頻出し、さらに複雑化している」との山田氏の指摘に続く赤松氏とのやりとりを以下に抜粋する(273~275ページ)。
赤松 今までは、あえてグレーのまま放置しておいた法令や条文がありましたよね。触れずに眠らせておくことで、表現規制の表舞台に出させない。でも今は SNS の発展もあって、そういった法令・条文を誰かがほじくり返してしまうと、世間に注目されて簡単に炎上。問題が大きくなって白黒つけざるを得なくなる。
山田 その典型的な例が、大阪府のガイドライン。府という公的な機関が「これはいい、これはダメ」と断言してしまうと、その基準が既成事実として一人歩きしてしまう。政治にはルールがありますから、一度決まってしまうと覆すのは難しい。問題が起きてからでは取り返せなくなっているんですよね。だから先回りして芽を摘んでおかないと。
(途中略)山田 日本の表現の自由は「守る」では利かないフェーズになってきて、「闘って」勝ちとらないといけなくなってきました。
こうした状況下で2013年の児童ポルノ禁止法改正以来、山田氏と一緒に活動してきた赤松氏が、議員として国政に参加することは表現の自由にとっても朗報といえる。
期待のかかる文化政策
2つ目の「日本の『文化GDP』倍増化計画」と3つ目の「UGC活性化戦略『好き』を伸ばして生かせる世界に」にも期待がかかる。
内閣府に特命担当大臣まで置いて推進したクールジャパン戦略も、官民ファンドのクールジャパン機構が309億円の累積赤字を出すなど、すっかりクールダウンしてしまった(「累積赤字309億円!ネット民怒りの統廃合検討、元凶は何だったのか?」)。
外国人観光客がコロナ前の5年間で2.4倍増と急増、期待がかかったインバウンドも2019年の3188万人から2021年には25万人へと激減した。こうした状況下、『「表現の自由」の闘い方』巻末対談は以下のように指摘する(282ページ)。
赤松 フランスのマクロン大統領がオリンピックで来日した時に会いたかったのは誰だと思います?『鬼滅の刃』の吾峠呼世晴(ことうげこよはる)先生と『進撃の巨人』諌山創先生です。それぐらい、日本のマンガは世界で愛されてるんです。私はそういうコンテンツの力で、平和的に世界征服したいと思っているんですよ(笑)。「日本ってすごい!」「日本の文化って楽しい!」って、世界に憧れられるような国にできると信じているんです。
山田 それは私も同意見です。「表現の自由」って、エロ・グロ・暴力がフューチャーされがちだけど、本質は文化を守ることってことですから、自分たちの文化をしっかりと守って、若者が誇りを持てる国にする。それは私たち大人の責任ですからね。
赤松氏には「世界に憧れられるような国にできる」との信念を貫いて、「日本の『文化GDP』倍増化計画」をぜひ実現してもらいたい。