自民党はどうして憲法改正に執着し、野党は絶対に阻止すると延々と戦うのか

改憲論争の歴史について

わたしは専門家ではないのでWikipediaを参考にしました。

憲法改正論議

もともと自民党は憲法改正を旗印に結党された党でありますが、実は自民党だけではなく、日本共産党や社会党も改憲案を出しています。

日本共産党は終戦直後、昭和21年(1946年)6月29日の制憲議会において日本人民共和国憲法草案を発表した。同党の野坂参三は「戦争には自衛戦争と侵略戦争があり、憲法で侵略戦争は禁止しても自衛戦争は認めるべきではないか」と答弁している。現在は綱領を改定して護憲を方針とし、改憲論議自体に反対している。

これは有名な話ですが、そもそも共産党は憲法9条の戦争放棄にも反対していたのです。いまとはかなり違います。

で、安倍さんは主に憲法9条の改憲にこだわりましたがその志しも半ばで凶弾に倒れました。しかしながら、自民党の歴史を見るとどうも本気で改憲しようとしていたようには見えないのです。実は改憲に対する意識調査はこのように変化しています。

gor Vershinsky/iStock

本当に改憲するなら2005年しかなかった


半世紀のNHK世論調査からみる憲法「意識の変化」

関心が低かった1960年代~1970年代
改憲機運が高まった1990年代~2000年代
慎重な姿勢が強まった2010年代

冷戦の時は戦争という意識が非常に身近であったため、憲法は変えずにこのまま行こうという世論が強かったのです。

しかし冷戦が終結し1991年に湾岸戦争が始まると、自衛隊の海外派遣が認められるかどうかが大きな争点になり、自衛隊の存在は前提としたうえで、国際貢献という文脈で海外での活動が認められるか否かに論点が移ったわけですね。つまりこのままでは国際貢献もできないと・・・。

しかし、この改憲の機運が高まったときの総理が小泉純一郎だったのが不幸でした。郵政民営化をはじめポピュリズム政治家ですので憲法改正など不可能だと後にのたまう人ですので千載一遇のチャンスをこのときに逃したわけですね。

そのあと、憲法改正には消極的な世論が強くなりました。


改正を支持する人が大きく減ったのは、2013年から2014年にかけてでして、このときの首相は何と

憲法改正に熱心な安倍晋三その人です!!!

つまり、憲法改正論は、熱心に憲法改正をぶち上げた安倍晋三その人によって憲法改正は遠くなったということもできます。2014年に集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定を行い、ついで2015年に安全保障関連法が成立して、左の人たちが大反対を繰り広げたこともあって警戒感がどんどん増したのです。

同時に日本は世界に例を見ない高齢社会に突入した。自分が生きてきて大勢に影響なかったんだから現状維持で良いという高齢者の意図が強くなってきたわけですね。

はっきりいいまして、現況では憲法改正は国会で通っても最後には国民投票で決議されるわけで、

絶対無理

とわたしは断言します。

憲法改正などできない理由

もっとも選挙結果と連動するNHKの世論調査では戦争の放棄を定めた憲法9条を改正する必要があると思うかどうか聞いたところ、「改正する必要があると思う」が31%、「改正する必要はないと思う」が30%。

実際に国民投票となると、投票率が高く人口が多いのは高齢者ですから、改正反対が圧倒するでしょう。高齢者は何より変化を嫌います。いまのままでなんとかいいならそれで逃げ切りたいのです。あれほど支持率の高い維新でも大阪都構想が二度にわたって却下されました。

維新の支持率は大阪では41%ですから、全国の自民の支持率35%をはるかに上回ります。事前の世論調査では支持がうわまわっていたはずですが、ギリギリで却下。地域的には貧困率と高齢者率が高い地域が反対に回ったとされとています。


完全に高齢者に押し切られた形

憲法改正のは年代別の調査が2018年しかないのですが明らかに高齢者は現状維持を希望します。

よって、憲法改正が国民投票で通らないことは自民党もわかっているし、野党もわかっています。自民党は国民投票にもかけません。仮に却下されたらもともと憲法改正を旗印に立ち上がった政党ですから存在意義がなくなります。そんなリスクは犯さないでしょう。

どうして野党の与党もこんな茶番を続けるのか

わたしは憲法改正はした方が良いと思います。しかし改正しなくてもしても中国は侵略してくるときはしてくるし、あまり関係ないとは思います。それより日本にはもっと差し迫った危機があります。

憲法改正するぞ~ 絶対反対だ~と与野党で騒いでいるのは、「何かやった振りをしているのに最高の題材」だからです。与党は海外からの危機感を煽るし、野党は逆にそんなことをされたら戦争だと逆の危機感を煽ります。

結果として相当共に支持率を大きく損なうがやらなくてはならない「年金の切り下げ」「健康保険や医療費の見直し」(19人を1人で支える時につくった仕組みが1.2人を1人で支える時代に対応するわけがなく、近い将来に年金システムも健康保険も破綻しますがそれをはっきりさせて対策を立てようものなら高齢者層の支持を一気に失います。少子化もニッチもサッチもならないところまで来ています。あと80年後は人口が3000万人台です。

本当に優先順位が高いものを検討するとやぶ蛇になるので、絶対不可能なことを双方ともやりあって時間を潰している茶番として憲法改正問題があると思います。世界でたった3国だけやってる頭のおかしいコロナ規制や経済潰しても鎖国している中にまさか日本がはいるとは思ってもみませんでした。このままでは本当に日本は終わります。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年8月22日の記事より転載させていただきました。