調査プロセスを怠ったいわゆる「AV新法」の問題点

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

維新・代表選挙ですので、党全体として政策活動の量が少し低迷気味なことは否めませんが、それでも秋の臨時国会に向けた準備はしっかりと行っています。

その一つがいわゆる「AV新法」の改善です。

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急ごしらえで立法・施行されたこちらの法律には課題が大きく、維新としても賛成した立場を真摯に省みながら、より良い法律に向けて努力していくことは以前のブログでも表明した通りです。

【参考過去記事】
維新はプラグマティスト集団。行動し、検証し、修正して進む。例えば「AV新法」について
私には関係ないな…そう思っているところから、「表現の自由」への侵食は始まっていく【コミケ演説・AV新法】

なぜ「適正AV」を作っている現場に過度な規制・負担が偏り、一方でそれ以外のアダルト映像にはほぼ効果がない(そして無駄に表現規制への懸念のみが強まるような)法律になってしまったのか。

多くの当事者が声を上げ続けてきたように、「当事者(メーカー、プロダクション、出演者等)」への聞き取り・意見交換が不十分であったことにその大きな要因があることはもはや疑いのない事実です。

立法実務を行った衆院法制局も、実際に法律を所管する内閣府も、徹頭徹尾「当事者」扱いをして聞き取りを行ったのはAV人権倫理機構のみ。

公表・販売まで1ヶ月・4ヶ月という期間も、さすがに事業者に聞かないと根拠が取れないだろうと思って確認したのですが、それすらも「AV人権倫理機構を通じて情報を得た」という状態。

しかしAV人権倫理機構は「当事者」ではなく、むしろAV事業者・当事者らとは緊張関係かつ管理指導をする立場にある第三者機関です。

AV人権倫理機構ホームページ
https://avjinken.jp/measure.php

団体説明としても

「業界の改善、健全化を推進する第三者的な組織として活動を開始」
「適正化を業界に求め、その中で様々な改善策を提案し、業界の協力を得て適正化を推進」

などの文言が掲載されており、「当事者」であるどころか業界と明確な一線を画した団体であることは明白です。

AV人権倫理機構への聞き取り・意見交換も当然に重要ではあるものの、これをもって当事者からのヒアリングを行ったと整理することは明確な誤りであり、このプロセスについては法律に賛成した私たちも大いに反省しなければなりません。

被害を防ぐこと・被害者救済は極めて重要。そのために、不完全な形で走ってしまった法律をどのように修正していくか。

少なくともこれまでも自主規制を遵守してきた適正AV業界に対する過度な規制を見直し、被害を生み出している事象・対象が取り締まれる実効性が担保された内容へと舵を切ることが必要です。

ほぼすべての会派が賛成していることから法改正に政治的ハードルが高いことは事実ですが、丁寧に当事者・関係者から実態を聞き取りながら、改正の方向性をしっかりと議論して検討を進めてまいります。

いわゆるカルト宗教・トラブル団体に対する対策法案についても調査検討を進行中。こちらの報告もまた改めて。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年8月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。