「むすび大学チャンネル」で小名木善行先生と「令和太閤記 寧々の戦国日記」についてYouTubeで対談したうち、「江戸、大阪、博多、名古屋…全てを作った戦国武将」は、「ねずさんこと小名木善行先生と豊臣秀吉を語る➀(建設編)」で紹介した。
こんどは、第2回の『豊臣秀吉なら絶対にやる三つの政策』を紹介する。これは、いま日本が必要としているのは、小泉純一郎のような破壊でも、岸田首相のような、平穏無事でもなく、ナポレオンや豊臣秀吉のような新しい国家像の樹立だということをいったのに対して、小名木さんが、秀吉が宰相ならやると思うことを三つあげてくれと仰ったのに対して三つの改革を挙げたものだ。
もちろん、とっさの思いつきだし、小名木さんの番組の視聴者が保守系の人だということも意識しての回答でもある。しかし、いずれも大事だと思うので、まず、さらっと、説明する。
① マイナンバーカード取得と携帯の義務化
秀吉の太閤検地は、戸籍、財産、所得などを総合的に把握する画期的な事業で、このお陰で日本経済全体を把握でき、全国どこでもよく似た行政ができるようになった。いまで言えばマイナーカードの取得・携帯義務化と各種情報の紐付けに相当する。
② 首都移転を含む全国での新都市の建設
大阪は秀吉の町だが、徳川家康に江戸を関東の中心にするように命令したのも秀吉だ。
県庁所在地のほとんどなど日本の主要都市は秀吉の時代に建設されたものが多い。しかし、これらの街は今の時代、インフラも老朽化してるので、新都市の建設をどんどん進めるべきだ。東京が首都のままだと、古い政官財癒着の構造から脱出できない。(これは前回、論じたいので繰り返さない)
③ 侵略や災害への抵抗力を高めるため短期の訓練義務化
秀吉は天下統一や大陸出兵のために、各地に割拠していた大名たちの軍勢を自由に動かした。古代は別だが、中世以降では、日本国軍の建設者だ。しかし、いまの日本は外国が上陸したとき、ウクライナのように国民全体で迎え撃つことができない。この状況を改善するために、国民が数週間の「国民研修」を受けるべきだ。この提案について、少し説明したい。
日本で憲法第9条があれば戦争にならないとかいっている人は、戦争というと「日本がどっかに攻めていく戦争」しか頭に浮かばないお馬鹿さんである。現実には、日本は攻められる可能性の方が多いし、攻められて上陸されたときの死者などは、攻めていったときより桁違いに大きいのであるが、憲法第9条が攻められないことに役に立つかというと、だいたいの擁護派も黙る。
そして、現状では自衛隊が初戦で少し犠牲を出しても義勇兵も現れない。まったく経験がないのでは、役に立たない。いまの日本は外国に攻められたら、ウクライナのように国民総力で戦える基盤がないのである。
さらに、問題は、防衛だけでなく、防災でも警察や消防への協力でも、国民のほとんどに肉体労働や団体行動の訓練ができてないから何も出来ないのである。
かつて阪神淡路大震災のときに、倒壊した家を前に、市民たちの多くが何もせずに消防署が遅いと怒っているのをみて愕然とした。しかし、肉体作業の経験がなかったら何もできないのである。かつては、国民のほとんどが農民だったから、そういうことができたがいまはそうでない。堤防が切れそうだからと土嚢を運んだり積むことも難しい。
また、一人の暴漢が暴れて誰かを襲っているときに、何十人もまわりにいて誰も助けないということにもなる。
そうしたことを考えると、全国民に防災、警察への協力、自衛隊への参加・協力などの基礎となる短期の訓練を施して、自衛隊への志願者や兵站などの後方支援への協力者が出やすいようにしたらどうかと思う。
ヨーロッパでは、兵役を廃止(厳密には停止)したものの、弊害も多く、上記のような訓練を男女を問わず義務づけようという方向に動きつつあるのは、同じ、問題意識からだ。
ちなみに、いわゆる徴兵制については、また、別途論じたいが、現在は憲法第18条の意に反する苦役の強制だから違憲だということになっている。その憲法改正には矛盾もあるのだが(防災のために動員する法律があるので)、戦後、定着した憲法解釈だから、集団的自衛権などと違って憲法解釈の180度転換になるので、ありえない。
しかし、上記の通り、本当に外国軍隊が上陸してきて、自衛隊にかなりの損害がでたらあとどうするかは、思考停止というか、日本人は逃げてしまっているだけのことではある。
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