3月の利上げ開始を含め、Fedはこれまで5回、300bp利上げして参りました。
Fedの積極的な利上げを受けドル独歩高、米金利上昇、米株安の嵐が吹き荒れる上、地政学的リスクの高まりもあって世界景気が軒並み減速するなか、Fedに物申す専門家が現れつつあります。
その一人こそ、ポール・クルーグマン教授。2008年にノーベル経済学賞を受賞し、日本に対し「流動性の罠に落ちた」と警鐘を鳴らし、プリント・マネーの必要性を主張したことでも知られます。
またリベラル派の側面を持ち、最低賃金引き上げ支持派の一人。そういった背景もあって、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムを2000年から執筆してきましたが、9月29日付けのNYT紙で「Is the Fed Braking Too Hard?」とのコラムをリリース。Fedによる過剰な金融引き締めが、①インフレ急減速、②経済危機発生、③ドル独歩高による新興国を始めとする各国への悪影響――をもたらすと警鐘を鳴らしました。③については、約3週間前にこちらでもリスクとして挙げていましたよね。
そのクルーグマン氏に、力強い援軍がやってきたのです。ハーバード大学で経済学の権威として長く君臨し、政府による分配に懐疑的だったグレッグ・マンキュー教授です。自身のブログでマンキュー氏は、クルーグマン氏の主張につき「私の直感では、答えはイエスかもしれない。ポールはそのことをよく説明している」と明記していたのですよ。その上で「自分では予想もしなかったが、彼のコラムを一読することを推奨する」とつづり、賛同者が増えていることも付け加えています。
古典派のリバタリアンがリベラリストを支持するという稀有な動きも、ある意味で足元の混乱を象徴するかのようです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2022年10月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。