東畑開人(とうはた・かいと)氏の「聞く技術 聞いてもらう技術」は、「聴く」と「聞く」の違いから話が始まる。
「聞く」は声が耳に入ってくることで、「聴く」は声に耳を傾けること。
としている。
そして、普通の人間は「聴く」のほうが高度な技術のように考えてしまうが、東畑開人氏は、「聞く」ほうがはるかに難しいことだと断言する。
相手からしてみると、言っていることを真に受けてほしい。目の前の言葉を無視しないでほしい。そう相手は思っているというのだ。
考えてみると、たしかに、われわれは話を「聞く」ということができていないかもしれない。
どうすれば「聞く」ができるのか。対話が難しい時代に、「聞く」専門家の心理士が問う。
声は上がっているのに、それが額面通りに受け取ってもらえない。溝は深まるばかり。その問題意識を確認することから、「聞く」の回復の旅は始まる。
なぜ、聞けなくなるのか。なぜ孤独になるのか。
「聞く技術」に先立って、「聞いてもらう技術」がある。孤独を防ぐために、「聞いてもらう技術」を使う。受動的な技術であり、決して「うまくしゃべる技術」ではない。
そして、「聞く技術」と「聞いてもらう技術」を循環させることによって、われわれは回復していくことができる。
そいった、「技術」をわれわれは取り戻す必要がある。
このような「技術」と「回復」を、今日からできる「小手先の技術」から本質へと迫っていく。迷っている人は、この「小手先の技術」からぜひ試してほしい。
「聞く技術 聞いてもらう技術」は、分断が深まるばかりの現代社会への処方箋でもある。
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アゴラでもおなじみの與那覇潤氏と東畑氏の対談が開催されます。
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