芸術の都・パリ、2023年必見企画展の数々

加納 雪乃

Daria Kulkova/iStock

芸術の都と呼ばれるパリ。「ルーヴル美術館」や「オルセー美術館」など世界屈指の美術館を多く擁し、その名に恥じない極上の美術館体験を満喫できる。それぞれの美術館の、常設展示はもちろん素晴らしいが、年1〜2度のペースで大きな企画展も開催され、各施設のトップキュレーターらが腕を振るう素晴らしい企画展を楽しめる。

この秋冬も、大充実企画展満載のパリ。「ルーヴル美術館」では、静物画にフォーカスした企画展と、ウズペキスタンアート展。ウズペキスタンアートは、「アラブ世界文化センター」と連動し、こちらでもウズベキスタンの装飾芸術を中心にした豪華絢爛な企画展が開催中だ。

ルーヴル美術館と美術館エントランスに建つピラミッド

「オルセー美術館」は、フランス初の大規模ムンク回顧展で、連日大盛況。「ルイ・ヴィトン財団」の、クロード・モネとジョアン・ミッチェルを感性と色彩を共鳴・対比させた展覧会は、発想もセノグラフィーも素晴らしく必見だ。「プチ・パレ」が企画したイングランドの巨匠ウォルター・シッカート展も、非常に興味深い。

オルセー美術館

3〜4ヶ月の会期があるからまだ大丈夫、と思っているうちに、気づくとあと1〜2週間で終わりそう!観に行く時間がない!と慌てるのは、展覧会あるある。2023年のパリで、絶対に見逃したくない展覧会を紹介しよう。

個人的に一番楽しみにしているのは、「ルイ・ヴィトン財団」の”バスキアxウォーホール、四手で”(4月5日〜8月28日)。LVMHが設立したこのアート空間では、2018年にバスキア展とシーレ展を同時期に開催した。時代は違えど共に夭折した2人の天才を共鳴させて、世界的に大注目。今回のポップアート2人の掛け合わせにも、世界から人々が押しかけるだろう。

ルイ・ヴィトン財団

「オルセー美術館」の”マネ/ドガ”(3月28日〜7月23日)も楽しみだ。いわゆる”印象派”とは一線を画し、光よりも都市、つまりパリを愛した画家。互いに好意を持ちつつ反発もしあっていた2人を並べて見ると、何を感じられるのか。

2023年は、ピカソ没後50年。世界各地でさまざまな企画展が開かれる中、パリの「ピカソ美術館」では、英国のファッション・デザインの巨匠ポール・スミスを招き、スミスの色彩でピカソ作品を演出する”ピカソ祝祭、色彩を纏うコレクション”(3月7日〜8月27日)を企画する。

ブルス・ド・コメルス

世界屈指のコンテンポラリーアートコレクターであるフランソワ・ピノーのコレクションを擁する「ブルス・ド・コメルス」では、影と光をテーマにキュレーションする”嵐の前”が2月8日〜9月11日に控えているし、マティスの1930年代の創作に注目する「オランジュリー美術館」での”マティス。カイエ・ダール、30年代の転換”も楽しみだ。

オランジュリー美術館

そして「ルーヴル美術館」では、ナポリの名門美術館「カポディモンテ美術館」とコラボレーションする、”パリのナポリ”(6月7日〜2023年1月)。同美術館の充実したルネッサンスコレクションを、パリのルネッサンスアート宝物殿である「ルーヴル美術館」で堪能できる、大注目の企画展だ。

魅力的な企画展が目白押しの2023年のパリ。好みの企画展を目指して、パリへの旅程を決めてみては?