日韓関係、改善への大きな一歩:懸念は残るが外交ディールとしては成功か

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

韓国で政権交代が起きてから初めての日韓首脳会談が行われ、事前の見通しの通り、いわゆる元徴用工問題は大きな進展を迎えました。

【詳しく】日韓首脳会談 「シャトル外交」再開で一致
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230316/k10014008921000.html

これに対する評価をよく聞かれますが、日本維新の会としては代表声明で姿勢を発表しています(最後尾に全文をテキスト掲載)。

とりわけ私も国会質疑で何度も取り上げてきた、いわゆる「元徴用工問題」については、日本側(日本企業)は追加負担を一切追わない、韓国の財団が補償をするという案で決着をみました。

100点満点ではないかもしれませんが、解決済とする日本側の主張は全面的に受け入れられた形であり、日本側に有利な決着であったといえます。

予想通り韓国国内では、新たな謝罪や賠償を引き出せなかった韓国大統領に対する猛批判の声が多く上がっており、また時計の針が戻ることのないよう注視しなければなりません。

ロシアや中国、北朝鮮という核保有国・覇権主義国家による脅威が以前と比較にならないほど高まる中、日韓関係、そして日米韓による連携と信頼関係は決定的に重要です。

もちろん竹島をめぐる領土問題やレーダー照射問題など、両国の間には課題が横たわっており、そこで我が国の主張を曲げるわけにはいきません。

一方で、文化交流によって若い世代の中では両国民の嫌悪感情は加速度的に薄れおり、これも関係改善の好機と捉えるべきでしょう。

輸出管理の解除については懸念がありますが(ここはしっかり確認していきます)、今回の会談・外交ディールは概ね日本側に有利な決着で終わったと評価します。韓国の政権交代という追い風を日本政府がうまく活かしたと言えるでしょう。

まだスタート地点に立った、というより戻ったばかり。繰り返しになりますが、韓国保守政権が「揺り戻し」に合わないよう、また残る課題が未来志向で解決されるよう、維新としても政策提言を続けてまいります。

それでは、また明日。

岸田文雄と尹錫悦大統領 2023年3月16日 首相官邸HPより

■以下、維新の代表声明全文■

日韓首脳会談を受けて
日本維新の会
代表 馬場 伸幸

本日、岸田文雄内閣総理大臣と尹錫悦韓国大統領による首脳会談で、日韓間の最大の懸案だった、いわゆる元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題の解決に向けた双方の措置を確認した。両国首脳が定期的に往来する「シャトル外交」の12年ぶりの再開や安全保障分野における協力強化等でも合意した。

北朝鮮、中国、ロシアと向き合う東アジアの厳しい安全保障環境を直視すれば、日韓両国が真のパートナーとして信頼関係を築き、米国を交えた3国の連携を深化させることは焦眉の急である。「戦後最悪」とも言われてきた日韓関係が正常化へと大きく踏み出したことを歓迎する。

元徴用工問題をめぐる韓国側の解決策は、1965(昭和40)年の日韓請求権・経済協定の原点に立ち返り、国際法に基き解決済みとする日本の正当な主張を受け入れた。反日感情が根強い韓国世論の批判が予想されるなか、対日関係の改善を重んじた新政権の現実的な決断を高く評価する。尹大統領には解決策の着実な履行と、韓国国民の理解を得るための努力を期待したい。

日本は、国内世論に動じやすい韓国政権が再び元徴用工問題を蒸し返さないよう、韓国側の動向を注視するとともに、尹政権の決断を可能な限り後押ししていくべきである。解決策が頓挫すれば北朝鮮、中国、ロシアの軍事的脅威に立ち向かう民主主義国家陣営の足元がぐらつきかねない。

日韓間には、韓国艦船による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題など懸案が横たわるが、日本は国益に基づく毅然とした対応を取りつつ、対韓関係を着実かつ速やかに正常な軌道に乗せ、未来志向の隣国関係を構築していくべきである。

以上


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2023年3月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。