こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
本日は今国会二度目のテレビ入り予算委員会に立たせていただきました。夜なべした会があり、直前にはそれなりに納得の行く原稿が完成し、自信と覚悟を持って質疑に臨んだ次第であります。
参院予算委 ウクライナへの支援や公文書管理の在り方など議論
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230324/k10014018561000.html
高市早苗大臣の去就にばかりスポットがあたる総務省の放送文書、いわゆる「コニタン文書」問題ですが、実はこの行政文書の中での主役は礒崎首相補佐官(当時)です。
今回の私の質疑により、官邸で要職を占めているはずの首相補佐官やその周囲のスタッフについては、関連する資料や情報が公文書扱いにならず「廃棄」されていることが初めて明らかになりました。
大臣に比べて地味な首相補佐官ですが、これはけっこうクリティカルな問題だと思います。こういうところの「穴」を塞いでいかないと、後世の検証にたえうる公文書管理を完徹することはできません。
その他にも公文書管理法の改正や電波オークションと第三者委員会の導入などを提案させていただき、手前味噌ながら建設的な議論ができたかなと思います。
ただ、問題提起や論点整理をしたことだけに満足せず、一歩でも政策を前に進めることができるよう、引き続き全力で邁進をしてまいります。
切り抜き動画を沢山の方が作って下さっていますが、ぜひ全編もYouTubeでご覧ください!
最後に、今日の質問の手元原稿全文とパネル資料を掲載しておきます。
それでは、また明日。
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20230324 予算委員会本番原稿
日本維新の会、音喜多駿です。昨今議論となっております「放送法文書問題」について、私は、政府予算案の審議という本委員会の本来の趣旨に基づいて、主に公文書管理と放送行政のあり方に関する未来志向の議論を行いたいと思います。
今回この問題がこじれてしまっている第一の原因に、行政文書の正確性が争点になってしまっていることがあげられます。まずこの点、1-⓪3月10日に、内閣府独立公文書管理監から「行政文書の正確性の確保について」という要請文書が各行政機関に送付されたと仄聞しますが、これは事実でしょうか、担当の岡田大臣に伺います。
答弁
こうした要請を出しているということは、内容としてすべてが正確ではない行政文書があるということを、現段階では事実上、お認めになっているということではないでしょうか。事後にあれこれと言うことは簡単でも、作成するその場で、常に客観的に正確であることを求めるのは、いくら官僚の皆さまが優秀でも極めて難しいことです。
そもそも行政文書には、どこまでの正確性を求めているのでしょうか、意思決定過程における職員の所感、伝聞の記録に、客観的な正確性を完璧に求めることは不可能ではないかと考えますが、岡田内閣府担当大臣の見解を伺います。
答弁
この質問をしている意図はですね、行政文書をおとしめたいわけではありません。後ほど総理にもお伺いしますけども、今回の騒動で霞が関が「完璧を求めるあまり、メモや記録を残さない組織」になってほしくないからなんです。
私も都議会議員のときに百条委員会というものを経験しまして、行政文書をダンボール何十箱分も出してもらったことがあります。その中には、まさに作成者のメモ書きや内輪のみで共有されるものであって、知事や副知事は預かり知らぬもの、組織としての正式見解とは異なるものもありました。
ですから、ある行政文書について、事後的に不正確な内容が見つかることは、ままあると思います。本件であれば大事なのは、実際に放送行政が歪められたのかどうか、という点で、その観点からすれば、一連の行政文書の中においても、高市早苗大臣は決して話題の中心ではありません。
ただ、しかしながら、売り言葉に買い言葉だったのだと思いますけども、高市大臣は不正確とご自身が考えられる文書について、「捏造」という強い言葉を使われて、自身の出処進退にまで結びつけてしまわれました。これが不正確な文書であるなら、淡々と当事者の目線から事実関係を説明すれば、ここまで論点がずれることもなかったと思うんです。万が一にでも、自分が作ったメモが原因で大臣のクビが飛ぶようなことがあったら、役人の皆さんは怖くてメモなんて作れなくなってしまいます。
なので、高市大臣。私はことさらに謝罪することも、大臣が辞任する必要があるともまったく思いませんが、「捏造」という強い言葉を使い、自身の出処進退にまで結びつけてしまったのは、いささか勇み足だったのではないでしょうか。ここまでの議論を冷静に振り返り、やや行き過ぎたという点については、撤回または軌道修正をされるおつもりはないか、これまでの経緯も含めて高市大臣の見解を伺います。
答弁
大臣は役所の職員の上司でもありますから、その言葉はとても強い意味を持ちます。放送行政と政府の関与については後ほど総理にもお伺いします。繰り返しになりますが、私が危惧しているのは、意思決定過程における伝聞メモや立案担当者の所感のメモについて、将来「捏造」と言われてしまうのであれば、またそれが原因で一人の大臣の出処進退が決まってしまうのであれば、記録し保存することはできるだけ止めよう、と官僚の皆さまが思ってしまうのではないかということです。
そこで、総理に伺います。総務省より公表されたような役人メモは、政策決定過程の一部がわかるものであって、歴史的にも価値があり、積極的に作成し続けるべきではないのかと考えますが、総理からの評価と、また、今回のケースが明るみに出て、行政文書の正確性がことさらに争点となったことにより、委縮効果が生まれる恐れがあり、そうした懸念を払拭するメッセージを総理自ら発信する必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
答弁
委縮せずに政策立案過程を記録すること、私からもあらためて官僚の皆さまにはお願いしたいと思います。そのうえで、本件で私が最も問題であると考えているのは、総理補佐官と官僚の接触が、内容面でも手続面でも適切であったかどうかです。接触があったことは御本人も認められていますが、そもそも当時の礒崎総理補佐官は国家安全保障及び選挙制度担当の補佐官であり、放送行政を担務とはしていなかったはずです。
本件は、大臣というより、むしろ補佐官と官僚との接触に問題があると考えられます。まず一般論として、補佐官は担務でない事案につき行政組織に指示ができるのか。内閣官房の長であり、行政各部の調整役である官房長官に伺います。
答弁
行政組織に指示はできない、と明確なご答弁をいただきました。そうだとすれば、本件についていえば、担務外の事案について総務省に指示・要求していた補佐官の行為を許していた、官邸のマネジメントに根源的な問題があったのではないかと考えますが、総理の見解を伺います。
答弁
当時の官邸のマネジメントについて、いま一度検証し、現内閣にも生かしていただきたいと思います。
そのうえで、総理補佐官の職務についても現内閣で今一度見直していただきたいと思っています。というのも、岸田総理の補佐官が何をやっているのか、正直、外部からはまったくわかりません。
活動報告が求められておらず、首相動静など報道でも総理との接触が見えてきませんが、それぞれの補佐官に何を求めているのでしょうか。今回の問題を受け、例えば補佐官からも国民への活動報告を義務付けるなど、情報を積極的に開示させるべきではないかと考えますが、総理の見解を伺います。
答弁
義務付けることは考えていないということなんですが、総理補佐官の行動や情報が不透明だからこそその存在意義が国民に伝わらず、今回の放送法の件のように「暗躍する補佐官」という疑惑が生じるのではないでしょうか。重ねてもう一問聞きますけども、補佐官の行動や業務について、国民への説明に資する、そして後に外部から検証可能な公文書や資料というのは残っているんでしょうか?官房長官、いかがでしょうか。
答弁
これ、非常に大事な点だと思うんです。たくさんいる補佐官、これにまつわる公文書はないと。まわりで働いている沢山の官邸スタッフが作っているであろう補佐官関連の資料は、全部公文書ではなく、保存されずに廃棄されると。ここ、地味だけど本丸の一つだと思います。
総理補佐官側、官邸側になんらかの資料が残っていれば、当時の磯崎補佐官の行動によって放送行政にどのような影響があったのか、逆サイドからも検証可能だったはずです。総理、補佐官の関連業務についても、再発防止のために記録と資料を公文書として残すことを強く提案しますが、総理の見解を伺います。
答弁
そして、今回の問題で前向きと申しますか、評価できることがあるとすれば、総理補佐官が権限外事項で官僚と接触をしていたことも、省庁側が記録に残していた点です。これがあったからこそ、政策の意思決定過程が歪められていたかどうかをいま、片面からは検証することができているわけで、繰り返しにはなりますが、官僚の皆さまにはきちんと記録をしていただくことが極めて重要です。
そこで総理、今回の問題をふまえて、国会議員のみならず補佐官のような政治任用職員などからの個別的・具体的要求があったときも、後世の検証にたえるよう、役所側から見た経緯について文書の作成を正規に義務付ける法改正・ルール改正を検討するべきではないかと考えますが、見解をお伺い致します。
答弁
国家公務員制度改革基本法5条3項1号には、職員が国会議員と接触した場合における記録の作成や保存のルールはありますが、政治任用職員についてはありませんので、ここには改善の余地があると申し上げておきます。
さて、一方で、今回の件は行政文書の流出事案でもあり、一部職員による国家公務員法違反の可能性も指摘されています。組織内で文書管理がなっていないと、国際的な信用棄損にもなりかねません。行政文書は不正流出を防ぐためにも、流出のしやすい紙媒体での記録は避けて総デジタル化し、アクセス履歴がわかる仕組みにするべきと考えます。いわゆるペーパーレス化の実現です。
そのためには、リアルタイムでデジタル記録をし、デジタルで保存することが合理的であると考えますが、ほとんどすべての官僚の方は、議員とのレクチャー・意見交換の際には紙とペンで記録を取っています。この理由を聞いたところが、議員や大臣の前でパソコンのようなデジタル機器を使うのは失礼にあたるからだ、というものらしいのですが、前段として職員が総理とやり取りをする際に、目の前でスマホやノートパソコンを用いて記録をし始めたら失礼にあたると感じますでしょうか、総理に伺います。
答弁
紙でメモして、あとからパソコンに向かって記録する、というのは働き方改革の点でも、行政のDX化という点でも、あまりにも無駄が多く時代遅れの光景ですから、大臣レク、総理レク等においても堂々とデジタル機器を使って良いと、ペーパーレス化の推奨を指示していただきたいと思います。
こうしたデジタル化を一つの柱として、公文書管理の件では最後に、我が党が議員立法としてすでに提出している、公文書管理における包括的な改革案を改めてお示しします。【パネル資料1】をご覧ください。
あのモリカケサクラ、そして今回のような公文書にかかる改ざんや流出のような疑惑を二度と発生させないためには、公文書等の管理において、①ペーパーレスを原則とし、改ざん等を防止するため高度な情報処理技術の活用を図る②行政文書ファイル等の保存期間及び廃棄の概念を廃止する③国会議員等からの個別的・具体的要求についての文書の作成を義務付ける④行政文書の管理が専門的知識に基づいて適切に行われるために必要な体制の整備を義務付ける。これらを満たした公文書管理法改正が今こそ必要ではないか、と考えますが、総理の見解を伺います。
答弁
総務省の調査によって、公文書管理の杜撰さやルールの曖昧さも明らかになりつつあります。今回の問題の核心の一つは公文書管理のあり方であり、安倍政権時代からずっとくすぶっているこの問題に、私は岸田総理にこそ決着をつけてほしいと思いますので、法改正を改めて強く提案させていただきたいと思います。
そして本件におけるもう一つの核心は、我が国の放送行政のあり方そのものです。時間がないので少し質問を飛ばして、総理にまとめて1問でお伺いします。
一昨年の総務省接待問題のときも焦点になりましたが、我が国の放送行政は、総務省の権限が強すぎます。先進国で、政府機関が直接、放送行政をコントロールできる仕組みをもっているのはもはや少数です。そんな権限が政府内にあるから、不埒な輩が放送内容に介入したというような疑惑が生まれるんです。放送分野における、規制の抜本的改革に取り組むべきと考えます。【パネル資料2】をご覧ください。
我が党がすでに議員立法も提出している通り、放送の免許については民間に開放し、競争によって申請者を選定する「電波オークション」を導入する。そして令和版の「電波管理委員会」ともいうような、第三者機関・中立機関がそれを監理・監督をする。こうした民間の創意工夫や競争を促しつつ、政府による電波・放送内容への政治介入が二度と起きえない抜本的な体制変更・改革に踏み出すべきと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
答弁
中立機関の設置も、電波オークションも、G7では我が国だけが採用していないものであり、外形的に言論の自由が弱い国と海外から評価される構造となっています。放送行政のあり方をこの機に全面的に見直していただきたいと思います。
【時間切れにて終了】
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2023年3月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。