先日、新人に研修として5日間の一人旅をさせるという会社が話題となりました。
【参考リンク】かわいい“社員”には旅をさせよ
卒業旅行じゃないんだから、と思った人も多いでしょうけど、筆者はなかなか見所のある研修だなと感じましたね。
実は今、新人の育て方が議論となっている日本企業は少なくないです。
ちょっと前に「職場環境がヌルすぎて若手が離職する」という話が話題になりましたが、あれも見方を変えるなら従来の育成方針が時代に沿わなくなっているとも言えるわけですよ。
企業は従来の新人育成にどんな限界を感じているんでしょうか。そして、個人は組織の中で何を目指すべきなんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。
従来の新人研修の狙いとは
ところで、社会人の皆さんは新人研修の内容ってその後の人生で何か役に立ちましたか?「当たり障り無さ過ぎて特に役に立った記憶が無い」「そもそも記憶に残ってない」という人が多いんじゃないでしょうか。
筆者はあまりにも退屈で、「熱が出ました」といってサボった記憶がありますね(汗)
さて、日本企業の新人研修がたいてい薄味なのには理由があります。
日本企業の新卒・総合職採用では、そもそもなんの仕事をさせるかは未定のまま採用の可否のみを判断します。
そりゃ採用担当の頭の隅には何らかの職種に就けるイメージはあるんでしょうけど、建前としては「先発ピッチャーだろうが外野だろうが、会社から与えられた仕事は何でもこなす」のが日本型雇用のルールです。
その後、具体的な配属先が決まるのは入社直前か、新人研修の終了後。時期で言うと5月以降という会社も結構あります。いずれにしても配属は全体の新人研修が終わってからですね。
するとその期間、新人の面倒を見る人事部門としては、営業から総務、技術開発まですべて含めて研修させないといけないわけです。
「誰にとっても当たり障りのない薄味」になってしまうのは必然なんですね。社会人共通のビジネスマナーとか、社史とか理念とか。結構カリキュラム埋めるのが大変だったりしますね。
よく「〇〇社でも採用のマナー講師」みたいな人がメディアに出てたりしますけど、ああいうのはコンテンツとして評価されているわけではないんですよ。
当たり障りのない話で枠を埋めてくれる便利な存在だから、企業の管理部門から重宝がられてるだけなんですね。
じゃあ新人研修なんていらないだろう、4月1日から職場に配属してOJTさせろと思う人も多いかもしれませんが、実際はむしろ「入社式から新人研修までの一連の新入社員イベント」を非常に重視している日本企業の方が多いです。
なぜか。それは、以下のような意識付けを効果的に行える儀式だからです。
・この会社に入れた自分は本当に幸せだ
・同僚はみんな、同じ釜の飯を食った仲間だ
・だからこの会社のために何でもやるぞ
どっかの部族が新成人にバンジージャンプやらせたり、ヤクザが新規加入者と盃交わすのと本質的には同じことなんですね。
ちなみに上記3要素、筆者は「ホップ・ステップ・社畜の三段活用」と呼んでいます。
特に重要なのは3番目ですね。「アレがやりたい、コレがやりたい」じゃなく、会社に与えられた仕事は何でもやる前提のメンバーシップ型ですから。
ポテンシャルのある人材を採用するだけでなく、最終的に「会社に言われたことは何でもやるぞ」というメンタルセットにして職場に配属するまでが人事部門のミッションなわけです。
なんてことを言うと「信じられない!ホントにそんなこと考えてるの?」と思う人も学生や外資しか知らない人の中にはいるかもしれません。
でも神様は優しいですね。そんな人のために格好のサンプルを用意してくれています。
【参考リンク】伊藤忠商事の入社式の様子がすごい。生演奏にダンサー付き→「昭和か?」「きっつ」「商社は勝者だな」
昭和じゃないですよ!令和5年、今年の入社式ですよ!
あと地方のオーナー企業じゃないですよ!日本を代表するエクセレントカンパニー伊藤忠商事の入社式ですよ!
大勢の現役社員に拍手で迎えられ、生演奏にダンサーが舞い踊る中、赤カーペットの上を一人ずつ進んで、社長に挨拶。そして大画面には、実家から見守る家族の姿も……
きっとあの若者たちはみな「伊藤忠に入れた自分は幸せ!」「社員は家族!」「言われたことは何でもやるぞ!」という立派なサラリーマン戦士として各職場に巣立っていくことでしょう。
以降、
岐路を迎えている日本型の研修
日本企業に足りないのは〇〇〇〇〇〇
Q:「専門外の仕事を上手くキャリアに取り込むには?」
→A:「キャリアの幅を広げるチャンス到来!と前向きに考えてみては」
Q:「社外のユニオンに加入するメリットは?」
→A:「あるとすれば会社と全面的に争う場合、ですかね」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2023年4月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください