疾患別に見た超過死亡について

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2021年以降に激増した我が国の超過死亡は、各年齢層や各疾患において一律に増加しているわけではない。年齢に関して言えば、60歳未満では超過死亡は見られず、超過死亡のほとんどが70歳以上の高齢者、とりわけ、90歳以上であった。

図1に疾患別に見た超過死亡を示す。超過死亡は、欧州連合統計局(Eurostat)に倣って、2020年、2021年、2022年の各疾患による年間死亡数と、コロナが流行する以前の2016年から2019年の年間死亡数の平均値との差を計算し、平均値に対する割合で示した。

図1 疾患別超過死亡

全死因による超過死亡は、2020年が0.8%、2021年が5.8%、2022年が15.3%であった。全死因において15%を超える超過死亡が見られた2022年においても、肺炎は-22.7%,交通事故は-23.6%と大きく減少した。自殺、全がんの超過死亡も、6.3%、3.0%と他疾患を下回った。

一方、大幅な超過死亡が見られたのは、老衰(61.8%)、誤嚥性肺炎(46.7%)、アルツハイマー(30.7%)、パーキンソン(25.0%)と心身機能の低下を示す疾患あるいは神経・精神疾患であった。そのほか、臓器の機能低下を示す心不全や腎不全による超過死亡も18.5%、18.4%と増加した。

図2は、2022年に見られた超過死亡数の疾患別分布を示す。新型コロナ感染以外の原因で生じた159,984人の超過死亡のうち、老衰と誤嚥性肺炎併せた超過死亡は86,426人で54%を占めた。

図2 2022年における超過死亡数の疾患分布

図3には15%以上の超過死亡が見られた5疾患における2013年と比較した過去10年間の死亡数の推移を示す。誤嚥性肺炎は2017年から新たに分類に加えられたので、10年間の推移を検討できなかった。パーキンソンとアルツハイマー において2017年から急に死亡数が増加したのは、分類方法の変更によると考えられる。

図3 疾患別死亡数の推移

2013年と比較すると全死因を含めて全ての疾患において過去10年間一貫して増加傾向が見られたが、とりわけ、アルツハイマー、パーキンソン、老衰は2倍以上の増加が見られた。新型コロナの流行が始まった2020年は、老衰を除いて他の疾患では減少あるいは1~2%の増加にとどまった。一方、2021年以降は、検討した5疾患においてそれまでの傾向とは逸脱した大幅な増加が見られた。

図4には各疾患の死亡率すなわち、人口10万人あたりの死亡数の推移を示す。絶対数の変化とほぼ同様であり、死亡率も、2020年には一旦鈍化したしたが2021年以降大幅な増加が見られた。

図4 各疾患における死亡率の推移

急速に高齢化が進んだわが国では、過去10年間に年齢構成に変化が生じたので、死亡率の推移については、年齢構成の変化も考慮する必要がある。高齢化が進むほど、死亡率は高くなる。年齢構成の異なる集団でも死亡率を比較できるように、年齢構成を調整してそろえたのが年齢調整死亡率である。年齢調整死亡率は人口10万人あたりの死亡数で示される。

図5には男女別の全死因の年齢調整死亡率を示す。粗死亡率の推移とは異なり男性、女性ともに一貫して年齢調整死亡率は減少傾向が見られた。ところが、2021年以降は増加傾向に転じた。

図5 全死因における年齢調整死亡率

図6は、老衰の年齢調整死亡率を示す。全死因とは異なり過去10年間、一貫して増加傾向が見られるが、2021年からは、それまでの傾向とは逸脱した大幅な増加が見られた。

図6 老衰の年齢調整死亡率

わが国の超過死亡は、新型コロナの流行が始まった2020年からではなく、コロナワクチンの接種が開始された2021年から激増した。年齢別、疾患別にわが国の超過死亡を検討した結果、大部分が70歳以上の高齢者であり、死因としては老衰、誤嚥性肺炎で半数以上を占めることが明らかになった。

超過死亡の発生は、時期的にはコロナワクチンの接種開始と一致するが、超過死亡の原因の多くを占める老衰や誤嚥性肺炎さらにパーキンソンやアルツハイマーなどの神経・精神疾患の増加とワクチン接種との因果関係を医学的に説明することは可能だろうか。

この関係を考えるのに参考となる症例を紹介する。パーキンソンの病歴がある76歳の男性であるが、コロナワクチンの接種後にパーキンソンの症状が悪化して運動障害もみられるようになった。3回目のワクチンを接種した3週間後に、突然、倒れて入院、集中的治療が行われたが間もなく死亡した。

剖検が行われ、直接の死因として、誤嚥性肺炎が考えられたが、脳には多発性壊死性脳炎、心臓には軽度の心筋炎の所見が見られた。得られた組織について、抗スパイク蛋白と抗ヌクレオカプシド抗体を用いた免疫染色を行ったところ、脳の血管内皮細胞とグリア細胞、心臓の血管内皮細胞にスパイクタンパクの発現が見られた(図7)。ヌクレオカプシドの発現は見られなかった。

コロナ感染による場合は、スパイクタンパク抗体に加えてヌクレオカプシド抗体にも染色されるが、この症例では、スパイクタンパクにのみ染色されたので、ワクチン由来の遺伝情報によって産生されたスパイクタンパクと考えられた。ワクチン接種後にみられる心筋炎はスパイクタンパクによる心筋傷害と考えられているが。壊死性脳炎の原因も同様にスパイクタンパクによる傷害と考えられる。

担当医は、パーキンソンの悪化がもとにあり、直接の死因は誤嚥性肺炎と診断したが、家族が病理解剖を希望したことによってワクチンの関与が明らかになった症例である。

図7 脳、心臓の血管内皮細胞とグリア細胞におけるスパイクタンパクの発現

高齢者が死亡しても、病理解剖されることは稀であり、たとえ病理解剖を行っても抗スパイクタンパクを用いた免疫染色による検討はほとんど行われていない。高齢の死亡例に対しても、免疫染色を含めた病理解剖を行うことで、ワクチン接種との因果関係が明らかになると思われる。