黒坂岳央です。
会社員、起業家、投資家と経験して思うことがある。それは「お金は増やすより有効活用する方が遥かに難しい」ということだ。
増やし方はある程度、明確に答えが用意されている。会社員なら収入アップにつながる資格を取ったりMBAを取得すれば増える。自分で粗利を稼ぐ自営業者なら広告など事業投資をすればいいし、投資ならリスクリワードを考慮して資産を買い続ければいい。それぞれのステージで自分にあうリスクをとって賢く使えば、長期的に見て本質的にお金は増えていく。
しかし、それ以上に難しいのは「このお金はとても生き金になった。よかった」と感じるような「消費としての有効活用」である。なんせこれには明確な答えはないし、何をしても最後は消費に必ず飽きる運命にある。「増やそうとせず、消費として有効活用できる人」は一体、世の中にどれだけいるのだろうか?いるとすればかなりのセンスに恵まれていると考えてしまう。
旅行や食事などの娯楽
「大金があれば思う存分、旅行や食事を楽しんでみたい」誰しもが一度は考えることだろう。
しかし、実際にそれなりの旅行や食事などの娯楽を経験すると、「ツバメの巣より普通の中華スープの方がおいしいかも」とか「高級ホテルといっても部屋は寝るだけの空間に過ぎず、あくまでエントランスやサービスが違っているだけだな」といった妙な失望感を覚えてしまうということがある。
結局、ドレスコードや予約が面倒で日常的に使うことはしなくなる。どれだけ豪華な商品サービスでも、限界効用逓減の法則といって人間はあっという間に慣れる。若い頃、ものすごく無理をして高いレストランにいき、あまりの金額に目玉が飛び出そうになりながら水をバカバカ飲んでいたら、その水もしっかり有料だったということがあったが、今ではそんなに狼狽することもなくなった。
上質体験はあっという間に慣れてしまうので、「世の中の見聞を広げる」という名目で使ってもあっという間に消費に飽きるのだ。惰性で使い、感情が動かなくなるので最初は良くてもすぐに「生き金」ではなくなる。
一人でお金の有効活用はできない
筆者の行き着いた結論としては、結局人は一人だけでお金を有効活用することは極めて難しいということである。逆に言えば誰か大切な人と過ごすならお金は有効活用できるということでもある。
一人で旅行や食事にいっても面白くないが、家族など大事な相手と楽しい時間を過ごすために使うなら何度体験しても楽しいものである。
また自分の大事な顧客へ知識や情報を提供するためにお金を使って書籍を買って学んだり、体験を買ってシェアすることはお金の活用法として優れた手段の一つといえるだろう。この場合、特に金銭的なリターンは深く追求しない。自分が知っている知見を提供することで、相手が喜んでいるのを見て満足する、という自己満足的なものでいい。商品サービスの価値向上としての出費なら、それは事業投資的な色彩を帯びるからだ。
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昨今、資産運用やインフレヘッジとしての投資話が広がっている。将来不安から爪の先に火を灯す勢いで蓄財を頑張る人もいる。しかし、お金は使う時に初めて価値が出るものなので、増やすことが目的化してしまえば死を前にした時に後悔してしまわないだろうか?
そう考えるとお金は増やしながら、同時に「心の充足とともに有意義に使う」ということを若い内に意識する必要があると思っている。今もお金の上手な消費については思い悩みながら試行錯誤しながら使っているところである。
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