【めいろまさんインタビュー③】「激安ニッポン」でグローバル人材になるには

アゴラ編集部

今夏も日本に帰国されためいろまさん(@May_Roma)こと谷本真由美さんに、外から見るとよくわかる日本の現状や課題に関して、色々とお話をお聞きしてきました。(第2回はこちら

イギリス社会の変化:日本の特殊なジェンダー観

――日本の男の子は中性化しているような気がしますが、イギリスはいかがでしょうか。

めいろまさん(以下、めいろま):イギリスは他の欧州各国と同様、男女の差をはっきりさせる社会です。日本と異なり男は男らしく、女は女らしくが幼少時より厳しく強調されます。男子がダンスや編み物をやっていれば日本よりもいじめられますし親や親類が批判します。髪型や服装に関しても同じです。そして結婚圧力や出産も日本より厳しいのです。カップル文化なのでお一人様で出かけることや社会生活を送ることが難しいです。実は日本のほうが遥かにジェンダーフリーです。

――LGBTQはどうですか?

めいろま:日本よりも活動が激しいのですが、それは日本よりも性差を強調する社会であり、また宗教的な背景が日本とは異なるという理由があります。反動として運動が激しくなります。

――社会構造の変化がイギリス社会におけるLGBTQの立場やジェンダー観に影響を及ぼしたのでしょうか?

めいろま:所属先や肩書よりも、稼げる能力を評価する社会になったので、日本よりはジェンダーフリーではないとはいっても40年前に比べると遥かに開放的になったのは事実です。現在ではメディアにLGBTQの人々が登場したり、同僚にいるのが当たり前の社会です。以前では考えられませんでした。

グローバル人材になるには?

――グローバル人材になるにはどうしたらよいのでしょうか?

めいろま:日本人でグローバルに活躍したい方に必須な能力は、まずコミュニケーション能力です。日本人はこれが恐ろしく欠けています。

イギリスは元帝国なので、企業の幹部や政治家などは、コミュニケーションが大変うまく、多様な文化や言語の人をうまく説得し、動かすという能力が大変高く、これは日本人が学ぶ点が多いです。

これは彼らが幼児期から徹底的に説得する方法、公の場で話す方法、ロジックが通った文章を作成する方法を訓練しているからです。自信があり白を黒という態度も重要です。またどんな地域の人にも通じるユーモアや、人に興味を持ってもらえる話の面白さや教養も重要です。

――日本の教育にはないものですね。

2つめに重要なのは相手に対する「配慮」です。相手の立場や状況を読み取って、お互いに得をする状態で合意を結ぶ。イギリスやアメリカはこれがうまいですね。

相手を安く買い叩いたり、徹底的に懲らしめるのではなく、大人として公平な状況で丸く収める。これは恨みを買わずに自分も成功するには重要です。

例えば非正規や下請けの方も丁重に扱う、無理を言わない、相手方の都合をよく考慮する、病気や家族の状況に配慮する、妥当な報酬を払う。損して得取れの精神です。

日本人は繊細なようで意外とこれができていません。話し方や振る舞いはソフトなのですが、非常に自己中で、大人ではなく子供っぽい態度です。

ですから他の国の人は日本人を嫌うことがかなりあります。日本人は言い方は優しく親切だが、要求が厳しく非常に意地汚いと。そして裏では無礼だと行っています。大人なので面と向かって指摘しません。

これは日本における非正規や弱者の方の扱いをみていればよくわかりますね。

――たしかに、仲間内にはやさしいけれど部外者には冷たいところはありますね。

台風や猛暑でも従業員に通勤を強いる経営者や管理職だらけです。打ち合わせの時間を急に通知してくる、夏季休暇を考慮しないで無理を言う。値切る。非正規に正社員と同じ仕事をやらせ、割増の賃金を払わない。

みなさんも身に覚えがあるのではないでしょうか?それは巡り巡ってご自分が昇進できない理由だったり、キャリアが先細りになっていく原因です。

外国では同じことをやったら恨みを買ってしまい、誰も協力してくれなくどころか、下手したら暗闇で襲われます。ビジネスはもちろんうまくいきません。配慮できないのは無能な人間です。

子供の頃から相手に配慮する優しさ、バランス感覚、寛容さを教えるべきでしょう。

因果応報の意味を外国人のほうがよく理解しています。

――日本人にはじぶんたちには見えていない課題があるのですね。今日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。

おわり

SHansche/iStock

  • 「【めいろまさんインタビュー①】「激安ニッポン」に帰国して」はこちら
  • 「【めいろまさんインタビュー②】イギリスから見える「激安ニッポン」の課題」はこちら

大人気の週刊めいろま世界のニュースクリップこちら

谷本真由美さん @May_Roma (めいろま)

ITコンサルタント。専門:ITガバナンス、プロセス改善、サービスレベル管理、欧州IT市場および政策調査。ITベンチャー、経営コンサル、国連専門機関情報通信官、外資系金融機関等を経て日英往復。趣味HR/HM。仕事依頼 Twitter @May_Roma