フェイク論文は科学分野での大きな問題だ!

Nature誌11月5日のNews欄に「How big is science‘s fake-paper problem?」という記事が掲載されている。

Paper millsと呼ばれる論文製造工場によって生み出された論文数が過去20年で40万を超えるという。昨年だけで約7万と推測されており、2022年に公表された論文の1.5-2%に相当するそうだ。生物学や医学の分野では3%と推測されており、科学の世界も異常事態だ。

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日々、ウクライナーロシア戦争やイスラエル―ハマス戦争で流される情報も、何を信じていいのかわからないことが多い。生成AIを上手に使えば、世の中は大きく進歩するが、悪用すれば大混乱に陥る。論文製造工場などなくとも、生成AIを使えば、簡単によく似たような論文を作り上げることができる。

苦労してコツコツと積み上げる必要などなく、上手に生成AIを利用できる人間が、巧みに生き延びる社会になるかもしれない。2007年には約0.2%だった論文製造工場からの論文の割合が、2016年には約1%となり、今年は約2%に到達しそうな勢いだ。

本物と偽物の識別が難しくなってきた今、科学者としての良心・矜持が求められる。我々の時代の良識が通じなくなってきた。というよりも、常識的なことや道徳的な考え方が通用しないのだ。しかし、厳しく指導するとパワハラと訴えられるような時代に、どのように教育すればいいのか悩みの種は尽きない。

谷村新司さん、もんたよしのりさん、大橋純子さんと、私より少し年齢が上の歌手の訃報が相次ぐ。千葉大学の学長は私より年下だった。

「危なげな恋と知らず、ぬくもりを手さぐりしてた」(ダンシングオールナイト)や「あなたに恋心盗まれて」(シルエットロマンス)を歌っていた青春時代が懐かしい。恋というときめきを感ずることも遠い夢だ。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年11月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。