やさしくて、卑屈な、かよわき者の国に:高島屋とダイハツ問題

高島屋がクリスマスケーキ問題で「原因の特定は不可能」とコメントした。「ケーキを作って、凍らせて、配送する」といった至って単純なプロセスにもかかわらず、「原因がわからない???」はいかにも日本的だ。

誰かに非難が集中するのを回避したかったのだろうが、これでは会社として、今後、同様のケーキの配送を責任もってできませんと言っているに等しい。ケーキが冷凍されていたのかどうか、配送中の温度はどうだったのかなどのモニタリングが全くできていなかったことを認めているようなものだ。

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原因がわからないと、手の打ちようがないので、「今後万全を期す」といっても、今後同様の問題が起こらないと断言できるはずもない。こんな単純なプロセスで検証できないというのは、企業としてあまりにも無責任だ。冷凍おせち料理はスケジュール通り配送するそうだが、問題の個所を特定できず(特定せず)と原因究明を放棄したにもかかわらず、商品は発送し続けるのはいかがなものだろうか?

十年ほど前、知人から桃を送っていただいたことがあるが、すべてが一部腐っていた。配送する時期が遅かったのか、配送中の温度が高すぎたのかわからないが、あまりにもひどい状況だったので、出荷元に連絡したことがあった。送り直してくれたので、特に理由は尋ねなかった。

今回、クリスマスケーキを再送してもらったから買主はそれでいいというわけではない。クリスマスの日に友人・知人を招いていた人にとっては、楽しい思い出作りに至らなかったのだから、高島屋の態度は商売人として失格だ。

かつて日本製品は質が高いと評価されてきたが、最近は、日本の信用が失われつつある事件が多い。今回のダイハツの問題なども、その象徴だ。しかし、不思議の国アリス状況であるのは、新車は生産しないにもかかわらず、今走っている車にはほとんど言及されないことだ。走行している車が十分安全ならば、基準値が不必要に厳しく制限されていることになるし、基準値に満たず安全でないなら、走行中の車をどうするのかに言及してしかるべきだ。

こんな矛盾がありありとしているにもかかわらず、メディアはその点には触れない。ジャニーズ問題で忖度が問題視されたにもかかわらず、背景に存在している大企業には、広告費は欲しくて何も言えないのだろうか?おかしな国になってしまったものだ。

NHK大河ドラマで、北川景子さん演ずる茶々の最後の言葉が話題になっている。

「つまらぬ国になるであろう」

「正々堂々と戦うこともせず万事長きものに巻かれ、人目ばかりを気にし、陰でのみ嫉み、あざける」

「やさしくて、卑屈な、かよわき者の国に」

本当につまらぬ国になってしまったものだ。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年12月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。