こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
政治資金パーティーの見直しについて議論が白熱していますが、今日は政治団体・政治資金パーティーへの課税という論点について整理してみたいと思います。
まず大前提として、政治団体だから、政治資金パーティーだから「非課税」と規定されているわけではありません。
政治団体は法的には「人格のない社団」というカテゴリーに分類され、政治団体が行う収益事業は普通に課税対象になります(法人税法第4条1項等。そういう意味で、すでに政治団体は国税庁のガバナンス下に入っているとも言える)。
実際、Tシャツやピンバッジなど物販を行っている政党・政治団体はあると思いますが、こういう物販業は収益事業として課税対象です。
一方、政治団体が機関紙の発行などを有料で行うことについては、非課税になる場合があります。これは法律で、機関紙発行が公益目的達成のために行われる場合は非課税になると定められているからです(法人税施行令第5条第1項第12号括弧書)。
では政治資金パーティーはどうして非課税が許されているかというと、結論から言えば国税庁の「解釈」によるものです。
人格のない社団である政治団体の行う収益事業には課税されます。この「収益事業」の定義として、法人税施行令第5条に34事業(物販業、出版業、興行業etc..)が列挙されており、たいていの事業はこのどこかのカテゴリーに当てはまります。
ところが政治資金パーティーは、国税庁の解釈によってこの34事業のどこにも当てはまらないとされているので「非課税」扱いなのです。
???
いや、そんなことある?というのが普通の国民感覚だと思います。
演者がマイクで喋り、飲食をして参加者が楽しむ。ディナーショーや婚活パーティーは興行業として普通に課税されますが、政治資金パーティーはそういうものではないのだと。
なぜ34事業のどこにも政治資金パーティーは当てはまらないのか?と国税庁に聞いても、ざっくり言えば「当てはまる項目がないから、当てはまらない」という同義反復の答えしか返ってきません。
これは議員特権ではないのか。
特権というのを脇におくとしても、いま政治団体には
・収益として課税される物販など
・法律で定められて非課税とされる出版
・法律にはないのに「解釈」によって非課税にされる政治資金パーティー
という事業が混在することになっており、整合性が取れない極めてチグハグな運用がなされています。
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ここまで大きな問題を引き起こすきっかけとなった政治資金パーティーが、国税庁の「解釈」によって非課税であり続けるというのは、もはや国民感覚では受け入れられないのではないかと私は感じています。
これを課税対象にするには、国税庁が解釈を変更するか、財務省が法令を改正して35事業目として「政治資金パーティー業(仮)」を新設すれば解決されます。
あるいは非課税をそれでも続けるならば(私個人は納得しがたいですが)、出版業と同じように公益性を理由に非課税となる規定を法律上にきちんと設けるべきです。
いずれにしても、今回の裏金問題は、政治家たちの納税意識・倫理観の欠如がその背景にあることは間違いありません。
仮に政治資金パーティーがきちんと課税の対象になっていたら、今回の裏金議員たちは政治資金規正法違反に加えてただちに脱税の罪に問われるわけですから、抑止力が働いていた可能性もあります。
吉村洋文共同代表が、政治資金パーティーに課税するという私案を発表されましたが、こうした現状・背景にも立脚しながら議論を進め、結論を出していきたいと思います。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2024年1月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。