老化を決めるのは実年齢より主観年齢

黒坂岳央です。

BBCの記事 The age you feel means more than your actual birthdateによると、実年齢より主観年齢が重要であるという。両者はどのような違いがあるのだろうか?カレンダー上の数字が実年齢であり、自分自身が感じている年齢が主観年齢なのである。

実年齢と主観年齢は加齢で乖離が広がっていくのが一般的だ。特に社会経験が浅いと、実年齢ではとっくに中年期なのに主観年齢は少年少女のままで止まっている人もいる。世間ではこの感覚の乖離が大きいほど「若作り」「痛い人」とバカにされがちだ。しかし、乖離していた方が良い場合もあると思っている。

AscentXmedia/iStock

中高年から輝く人たち

時折、目を引くのが中高年から年齢不相応に大きな挑戦をして、成功を収める輝く人たちである。

幽遊白書の主人公、浦飯幽助というキャラクターの声優を努めた佐々木望さんは数々の伝説を作っている。高卒後、友人に誘われて日本ナレーション演技研究所のオーディションを経て声優にデビュー。声優活動を続けていたが、英検1級と全国通訳案内士に合格。その後も仕事をしながら予備校なしの独学で東京大学に合格している。驚くべきは40代でこれらの偉業を仕事をしながら成し遂げたことだ。中年から夢を持って成し遂げたいという思いの強さと、かけた努力は並大抵ではなかったはずだ。

また、自分がよく知る社長の中にも50手前で起業して大成功。現在70代にしてITを勉強をしながら自社業務を次々とDX化している人もいる。この人物と直接会話することもあるのだが、驚くほど先端テクノロジーをよく理解、勉強している。元々高学歴などではなく、最終学歴は農業高校卒で先祖からずっとフルーツの生産者だった。PCに初めて触れたのは50代になってからである。

こうした中高年から輝く人と会話して感じること、それは気持ちがものすごく若い、つまり主観年齢が若いということだ。周囲からは「年甲斐もなく」みたいな揶揄もあるようだが、本人は「法律で挑戦してはいけないと禁止されているわけじゃないでしょう」と笑っていたりする。「自分はもう人生の終盤が近いので」などといっていたら、とてもこうした挑戦はできなかっただろう。

若い中年、若作り中年

実年齢より気持ちが若いと「若作り」とバカにされる人がいる一方、いきいきして素敵だと言われる人がいる。両者の違いはなんだろうか?

若作りと言われるパターンは、社会的に求められる振る舞いに対してであることが多い。たとえば年齢が中年なのに未だに中学生が着るような服だったり、無理して若者に理解がある風を装ってこびるというものである。これらは「年相応のふるまい>若いふるまい」という構図になっているため、周囲からは受け入れづらさが出てしまう。

一方で気持ちが若いパターンは、自己完結している場合だ。件の東大受験や英語学習に挑戦したり、起業して自分らしく生きる道を追求するといったものだ。特に他人に迷惑をかけているわけでもなく、周囲にこびたりすり寄って疎ましく思われることもない。あくまで自分らしく生きるために自分の道をゼロから開拓するエネルギッシュさを感じる。そこに人間の可能性や強さを感じて応援したくなるのだろう。

誰しも年をとる。それ自体は誰にも責められることではない。そして実年齢にあわせて、素直に主観年齢も老いていくのが普通だ。しかし、実年齢なんて気にせず、主観年齢若くエネルギーと強さに溢れた挑戦者、開拓者にストーリーを感じて周囲も鼓舞されるのだ。

 

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